2026年3月20日

そういえば、インテルがソケットの戦略を見直すとの記事が出ているようだ。インテルのCPUは、2世代ごとにソケットの形状が変わると言われているが、マザーボードを変えずともCPUのアップグレードで使い続けられるように、ソケットの形状を変えないようにするらしい。AMDは、RyzenのソケットをZen3まではAM4、Zen4以降はAM5で出している。ソケット互換の方が、同じマザーボードやメモリなどのセットアップで使い続けられるので、その方がユーザーの利便性が高いと思われる。去年からメモリが高騰しており、余波でコンシューマー向けのCPUやGPUの今年の発売が無さそうな状況となっている。基本的に自作PC派には厳しい状況なので、ソケット互換を約束するというのは良いことだと思う。マザーボードメーカーにとっても、現状ではメリットが大きいのではないだろうか。

だいぶ以前の話になるが、インテルのCPUが出るときには、CPUアーキテクチャがアップグレードするときにはソケットが変わり、CPUアーキテクチャが同じで半導体プロセスが次の世代に移るときはソケットが変わらない、というお約束のようなものがあった。いわゆるTik-Tok戦略と呼ばれていた開発方針で、ユーザーから見ると1年ごとにCPUのアップグレードがある一方で、開発する側はアーキテクチャのチームと半導体プロセスのチームが約2年ごとに更新するということになっていた。

そしてこの約2年かけて半導体プロセスを開発するところがムーアの法則そのものだったと言ってよい。24ヶ月でトランジスタの集積度は倍になり、電力はそのままでコアやキャッシュメモリが増えて周波数が上がる、という具合だったと思う。このTik-Tok戦略は、インテルがNetburstアーキテクチャで65nmプロセスに移った2006年から、14nmプロセスでSkyLakeアーキテクチャに移った2015年まで続いた。その後、プロセス開発が10nmへ移行できずに、インテルからTik-Tokは止めるという宣言が出ていたと思う。

また、CPUアーキテクチャが変わるときは、システム側でもメモリやチップセットをアップグレードするタイミングで、CPUの端子数が増えてパッケージの外形が変わり、ソケットも交換となっていた。当時はDIMMもDDRが3から4になったり、PCIeやUSBの世代がアップしたり、ATAがSATAになったり、いろいろな技術が次から次に出てきて、新しいマザーボードに替える動機になっていたと思う。かつてはインテルのIDF(Intel Developers Forum)が賑やかで、マザーボードのフォームファクター開発もけん引していたような気がする。

インテル関連でもう一つ。CPU製品の価格を、10%程度値上げの情報が出ている。AIの推論システムの需要が増したことで、CPUに依存するワークロードも増え、CPU需要を押し上げているようだ。

CPUつながりでArm関連。ArmからArm CPUが発表されるようだ。来週開催予定の、Arm Everywhereで発表されるとの記事が出ている。Armはアーキテクチャ販売の会社だが、去年、独自設計のArm CPUを出すと発表していたと思う。いよいよ具体化したということか。詳細はまだわからないが、スマホ向けかPC向けか、データセンター向けかHPC向けか組込み向けか、いろいろな用途で使われるArmアーキテクチャだけに、予想がつかない。また、各方面ですでにメジャープレイヤーがいる状況で、はたしてシェアを獲得できるのか、という気もしている。また、半導体プロセスはどこなのかも気になる。すでに製造ラインに空きがない気がするが、予約してあるのだろうか。(大きなお世話かもしれないが)

SKハイニクスのHBM4Eのロジックダイに、TSMCの3nmプロセスを使うという記事が出ている。SKハイニクスのHBM4はNVIDIAのGPUに採用されているが、サムスンよりも性能が劣るとされているようだ。これを覆すためにHBM4Eを強化するとみられる。HBM4では、コア(DRAM)チップに1bプロセス(10nmクラス第5世代)、ロジックダイ(PHYやIOなど)にTSMCの12nmプロセスを用いているが、これをHBM4Eでは、コアに1cプロセス(10nmクラス第6世代)、ロジックダイにTSMCの3nmプロセスを用いる計画のようだ。サムスンは1c+自社4nmとみられる。

TSMCとサムスンの関連で2つ。まず値上げの記事が出ている。TSMCが製造ラインのひっ迫もあって、5nm以下のウェハ価格を上げるかもしれないとの記事が出ている。この場合、5/4nm、3nm、2nmプロセスの値上げとなる。昨年から今年にかけて、3nm以降は2029年まで毎年10%程度のウェハ価格の上昇を予定している、と言われていた気がする。5/4nmが加わったということか。次世代の半導体プロセスが主流になると、それより前の世代のウェハ価格が下がる、というのは過去のビジネスモデルかもしれない。また、サムスンも5/4nmの需要の高まりを受けて、2025年第4四半期から値上げしているとのこと。 

次に労働争議。台湾の労働監督署が台湾企業の労働基準法違反を調査したところ、Top10の7位にTSMCがランクインしたらしい。詳細はわからないが、全体的には残業代の不払いや長時間労働の隠ぺいなどの違反が多いとのこと。景気が良くても悪くてもこういうのは後を絶たないような気がする。景気が良い場合は仕事が多すぎて、景気が悪い場合はお金が少なすぎるからだと思う。もちろん台湾は前者だと思うが。また、おとといの記事だが、サムスンが5月にゼネラルストライキを予定しているそうだ。ゼネストとなればサムスングループ全体と思うので、半導体製造も対象だろう。現状は労働組合がスト権を獲得したということだと思うので、5月まで交渉は続くと思われる。技術的な話ではないが、技術を支えるのは人なので、こういう話は重要だと思う。

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