2026年4月24日

そうえいば、インテルの株価が急騰して、2000年代のドットコムバブルの株価を越えたらしい。もう2年半前になるが、2024年の11月の初めに、インテルがダウ平均銘柄から外れ、その後は長い低迷期に入っていったと思う。12月にはパット・ゲルジンガーCEOが退任し、どうなることかと思っていたが、翌年5月ごろに就任したリップ・ブー・タンCEOがこの1年をかけて、ようやく回復してきたというところかもしれない。AI需要が推論重視に傾いたことで、CPU需要が伸びたことも大きいと思われる。半導体への投資と回収の期間は、投資家の思惑には合わないとパット・ゲルシンガーが言っていたと思うが、リップブータンCEOがブレずに頑張って耐えていたのは、ゲルシンガー氏の言葉を体現しているようにも思われる。

CPUつながりでAMDの話題。AMDが提供するEXPOが1.2になったという記事が出ている。EXPOとはEXtended Profiles for Overclockingの略で、AMD製CPUに対応するDIMMのタイミング調節などを行う機能のことらしい。今回はMRDIMMへの対応と、メモリ不足への対策として中国メーカーの数社のDIMMに対応したようだ。Zen6向けの準備と思われる。Zen5世代としては、Ryzen系のパソコンのマザーボードにCUDIMMを挿しても、バイパスモードでUDIMM動作になるようだ。EPYCのTurinは、IOチップのメモリコントローラ―がRDIMM対応で、MRDIMMは、まだ使えなかったと思う。これらはZen6世代で使えるようになるようだ。

個人的にAMDのCPUでパソコンを組んだことは無いのだが、何年か前に間違えてEXPO対応のメモリを買ったことがある。64GBを2組買った。つまり32GB x4枚。同規格のDIMMの中で、なぜか他より少し安かった。返品しようかと思ったが、EXPOってなんだろうと調べてみたら、メモリ設定プロファイルだというので、基本性能は出るのだろうと理解して、そのままインテルCPUのマザーボードに使うことにした。現在も奥さんのパソコンで無事に使えている。(メモリが潤沢で快適なようだ)

次に違う話題でNVIDIA関連。NVIDIAがOpenAIのChatGPT 5.5を搭載したCodexを1万人を超える全従業員に展開したようだ。10万基のNVIDIA GB200の上で動作しており、チャットボットは従業員と会話をし、エージェントは業務をしていると記事は伝えている。エージェントはセキュアな仮想環境内にいて、企業データにアクセスはできるが、削除や変更はできないようになっているとのこと。開発現場だけではなく、法務・財務・営業といったエンジニアリング以外の部門でも使っていると記事は伝えている。

NVIDIA関連でもうひとつ。NVIDIA製GPUインスタンスへのアクセスが困難になっているという記事が出ている。大手のCloud Service Provider(CSP)では、データセンター内のNVIDIA製GPUインスタンスを、自社内や大口顧客に優先的に提供している状況らしく、スタートアップなどの小口の顧客は予約待ちになっているようだ。大規模なトレーニングなどを実施する場合は、おそらく同一クラスタ内のベアメタルが確保されるため、小口の顧客は締め出されているのではないかと思われる。

データセンターつながりでMetaの話題。MetaがAWSのGraviton5を大量に購入したようだ。3年間から5年間にわたる数十億ドルの契約と見られている。コアの数では数千万コアに相当するとのことで、Graviton5が192コアなので数十万チップに相当すると見られる。ただし、チップとして購入したのか、AWS上でのインスタンスを買い占めたのかはよくわからなかった。3月中旬のGTCではNVIDIA Vera CPUラックの納入先として、また3月末ごろ発表のArm AGI CPUの発表では主要な納入先候補として、Metaの名前が挙がっていたと思う。おそらく、NVIDIA VeraもArm AGI CPUも製造はこれからであると考えると、目先のCPUはGraviton5というだろうか。

納入先としては、Metaが計画しているデータセンター(Project Prometheus)が、そろそろ稼働するタイミングではないかと思う。1GW級のデータセンターと言われている。Prometheusで稼働するMTIAにリクエストを送るのがAWS Grviton5ということになるのかもしれない。そしてその後のProject Hyperionは5GW級で、そこではVeraとArm AGI CPUと次期MTIAが稼働するのかもしれない。Metaに限らないが、AIデータセンター各社のプロジェクトの規模もさることながら、すごい資本力だと思わざるを得ない。 

最後にLinuxの話題。Linuxのカーネルから、古いネットワークドライバが削除されているようだ。ISDNやPCMCIA(いわゆるPCカード規格)のネットワークドライバが対象になっているとのこと。AIがコーディングする中で、古いドライバに関連するエラーが増えてきたらしく、削除が進んでいるようだ。先日のAnthropic Claude Mythosのレポートでは、20年以上前のドライバ関連で、知られていなかった脆弱性が見つかったとの記事もあったかと思う。PCカードという名称は久しぶりに聞いた気がする。Type-Iのメモリカードやモデムカードを使っていた。

こういった、古い機器のドライバが誰にも気づかれなかった脆弱性を持っている、ということは容易に考えられる。こうなると、昔のものを含むこと自体が、リスクとなり始めているのかもしれない。いっそのこと、AIが自動的に穴をふさいだドライバを書いてくれると良いのだが。新しい危機に対応するドライバは、そうなっていくのかもしれない。

2026年4月23日

ということで、TSMCテクノロジシンポジウムについて、記事が多く出てきているようだ。今回の北米シンポジウムでは、先端ロジックプロセスのロードマップの更新で、A13プロセスとA12プロセスが発表された。おそらくこれが目玉だと思われる。2029年に同年内に提供されるらしい。先端ノードが2段階、同年内に提供というのは、初めてのような気がする。両方ともA14プロセスの改良版となっている。

A12はSuper Power Rail(SPR)と呼ぶTSMCの背面給電に対応したプロセスとのこと。SPRはA16とA12ということになるようだ。単純な想像だが、A14を改良して少しシュリンクしてA13としたところに、SPRを適用するとトランジスタ側にある電源配線が背面に回るので、もう少しシュリンクできるような気がする。そうするとA12と名乗ることが出来るのかもしれない。見方を変えると、A14の改良版で、SPR無しがA13、SPR有りがA12ということかと思ったが、どうだろうか。 

一方、A16プロセスが2027年にシフトようだ。これも少しサプライズかもしれない。NVIDIAのFeynmanに適用されると言われていたような気がするが、Feynmanが2028年と言われているので、ロードマップ上は間に合うと見られる。また、新規開発のA14プロセスは2028年で 変わらないが、N2/N2Pの改良版N2Uが、2028年にA14と同時に登場となっている。去年はN3系の改良版があったが、N2が昨年末に量産開始となったので、今年はN3の改良版が出ていないようだ。もうひとつ意外だったのは、ASMLのHigh-NA EUVはまだ導入しないという点で、どうもコスト的に高すぎて導入を見送ったらしい。現行のEUVで、A12プロセスまで進められると判断したようだ。(おかげでASMLの株価は下がったらしいが)

また、最近重要性を増しているパッケージングについても、CoWoSの大型化についてロードマップを更新したようだ。CoWoS-Lは現在5.5レチクルで、2027年に9.5レチクル、2028年に14レチクルを目指すとのこと。14レチクルになると、10チップ+20HBMの規模らしい。2029年は14レチクルを越えるCoWoS-Lと並行して、40レチクルのSoW-X(System-on-Wafer X)が実用段階に入るとしている。3D-ICも現在の9umピッチから6umピッチへ移行し、2029年には4.5umピッチでA14-to-A14スタッキングを可能にするらしい。チップレット時代になって、パッケージングはシリコンチップが露光エリアのサイズ(レチクル)の限界を超えて性能を拡張していくための重要な手段となった。コストの面からも、適材適所な半導体プロセスで製造されたチップを、ひとつのパッケージに封入していくことになる。

工場の増設については、アリゾナのFab21に4つめの工場(P4)を建設を始めたと公表したようだ。全部で6つ作ることになっていたと思う。P2が3nmで2027年後半に製造開始となっている。P3がパッケージング工場と見られる。今回公表されたP4は2nmらしい。2nmは台湾でもFab20で製造中だが、Fab22(高雄)の建設が進んでいる。台湾とアリゾナで同時に建設をすすめているということになる。また、2nmプロセスは先端ロジックのN2Uに加えて、自動運転向けN2Aが発表されたようだ。

他にも特殊用途として、コンシューマ向け高電圧FinFETのN16HVプロセスを発表したとのこと。ディスプレイドライバ用途としており、スマートグラスなどへの応用を見込んでいると思われる。

次のTSMCテクノロジシンポジウムは、本拠地台湾で開催の予定。 

半導体続きでインテルの話題。インテルファウンドリのIntel 14Aプロセスの最初の顧客は、どうやらイーロン・マスクのSpace Xらしい。テラファブの代替製造と見られる。ちなみに、インテルファウンドリからの発表は、まだないようだ。テラファブ構想は、テキサスに2つの2nmプロセスの半導体工場を建設するというものだが、実現性はよくわからない。台湾で半導体プロセスに関する人材募集をしているという情報もあり、いつになったらチップができるのか、非常に不透明な状況と言える。それを踏まえると、並行してインテルファウンドリを採用するのは理に適っていると思う。しかし、テラファブが目指す生産量はインテルでは賄いきれないことも確かだと思う。加えて、14Aプロセスを製造するオハイオ工場は、完成が2030年から2031年にかけてと見られている。これを加速するための取組みが始まるということだろうか。

少し変わってIBMの話題。IBMの第1四半期の決算発表が出ているようだ。業績は悪くないが、決算発表後に株価が落ちたようだ。(IBMだけでなくSalesForceも下落したので、まだCaludeショックやSaaS終末論が影を落としているのかもしれない) IBM社としては、このAIの波は事業推進の追い風ととらえている。当然ながら、決してAIにやられて滅んでいく会社とは考えていないようだ。z17のメインフレームなどのハードウェア事業だけでなく、RedHat事業もあるし、Watson-x AI事業やコンサルティング事業もある。今回、IBMとGoogle Cloudの連携について、IBMからプレスリリースが出ており、Google Cloud Marketplace経由でIBMのクラウドサービスが提供されるようだ。

私個人がクラウドコンピューティングという言葉に初めて触れたのは、2011年ごろにIBMが発刊していたJournal of Research and DevelopmentというIBMの技術情報誌だったような気がする。残念ながら4・5年前に休刊してしまったが、IBMのテクノロジーについて解説していた情報誌で、よく読んでいた。(今読もうと思うと、IEEE Xploreで別料金を取られたと思う)

Googleつながりで次の話題。GoogleのTPUv8ax/xが、TPU8t/iに整理されたようだ。これまで学習用TPUv8x(ZebraFish)と、推論用TPUv8x(SunFish)としていたが、それぞれ学習用をTPU 8t、推論用をTPU 8iとしたとのこと。名称が変わっただけで半導体プロセスや担当するASICベンダーなどが変わったわけではないようだ。ax/xだとどっちが学習でどっちが推論だっけと思うことが多かったが、ひょっとしたら関係者の間でもそうだったのだろうか。

Google関連でもう一つ。Google Cloud Serviceに、NVIDIA Vera Rubinのベアメタルサーバーが入るようだ。A5Xインスタンスとして手配すると、仮想サーバーではなくサーバー装置(ベアメタル)として利用できるらしい。単一サイトで8万基のRubin GPUが稼働でき、マルチサイトで最大96万基までとのことなので、12サイトあるようだ。

データセンターつながりで次の話題。イギリスの通信大手BT社が、欧州データセンター大手Nscale社およびNVIDIAと提携して、ソブリンAIを構築するとの記事が出ている。また、BT社とRackspace Technologyの英国内データセンターでソブリンクラウド構築し、英国の国内でホストの運用を行うとのこと。自国内にデータセンター設備を持ち、データを国内で管理していくことは、データ主権の基本的な要件となりつつあると思う。

データセンターでもう一つ。マイクロソフトのAIデータセンターが予定より早く稼働したようだ。ウィスコンシン州のフェアウォーターにあり、NVIDIA GB200で構築した2GWのAIトレーニング用データセンターとのこと。数十万基のBlackwellと、地球4周分を越えるファイバーケーブルで構成されているらしい。マイクロソフトによると、全米で今後70ヶ所を越える同様の施設を建設する予定とのこと。

2026年4月22日

そういえば、今年のTSMCのテクノロジシンポジウムが始まったようだ。正式名称はTSMC 2026 North America Technology Symposiumとなっている。開催は1日のみだが、North Americaの部分が、ヨーロッパや中国などを巡回するときに変わる。日本に来るのは最後の方で、今年は7月の初めのようだ。例年横浜で開催されている。どこの地域でも内容的に大きな差があるわけではないと思うので、4月の北米シンポジウムのプレス記事やニュース記事を読んでおくと、予備知識としてはだいたい手に入ると思われる。記事が増えたらまとめてみたい。

ということで次の話題。Appleが、macOS27でIntel製CPUを使ったMacのサポートを打ち切るという記事が出ている。macOS27は9月にリリースと見られる。AppleのM1が登場する2020年以前までは、Intel製のCPUが使われていたが、MシリーズのいわゆるAppleシリコンが登場して、7年でOSのサポートが終了するということになる。この間、AppleシリコンはM5まで進んできており、次期のM6(TSMC N3Pプロセス)については、今年出るかと見られていたが、2027年に延期される可能性があると記事は伝えている。DRAMの高騰やフラッシュメモリの不足が影響しているようだ。

話は変わってNVIDIAの出資関連。VAST Date社の資金調達ラウンドにNvidiaが参加し、出資するようだ。NVIDIAの出資額はわからないが、VAST社の調達額は10億ドルらしい。VAST社は、大量のデータ管理のためのソフトウェアインフラを開発しているとのこと。主要顧客はCoreWeave、Mistral、US Air Force、Cursorなど。AIアプリケーションに重点を置いており、数百万GPUが稼働するプロジェクトをサポートしている実績があると、記事は伝えている。CoreWeaveはNVIDIAが出資しているデータセンターだったと思う。CursorはAnysphere社が提供しているAIコードエディタで、NVIDIAも導入していたと思う。

最後に量子コンピュータの話題。IBMがルーマニアに量子コンピュータを設置するとの記事が出ているようだ。2026年10月にFreeYa Mind Campus内に、IBM Quantum System Twoが設置される予定とのこと。FreeYa Mind Campusは、中央・東ヨーロッパ初の民間量子インフラセンターらしい。欧州委員会は2025年にポスト量子化暗号(PQC: Post Quantum Cryptography)に関するロードマップを作成しており、加盟各国は対応を進めることになっている。

2026年4月21日

そうえいば、AMDがCo-Packaged Optics (CPO)関連でGlobalFoundriesと協業するという記事が出ているようだ。AMDの次世代AIアクセラレータMI-500シリーズに向けて、光集積回路(PIC)のチップ製造をGlobalFoundriesに委託するらしい。組立はASEが行うとのこと。AIデータセンター内の接続では、低消費電力化のために銅配線から光配線への移行は不可避と見られている。MI-500は2027年に登場の予定で、CPUはEPYC Verano (Zen6)との組み合わせと思われる。今年の後半にはHeilosラックシステムが投入されると思われるが、AIアクセラレータはMI-400、CPUはEPYC Venice (Zen6)、NICはAMD Pensandoで、光スイッチはBroadcomのTomahawk-6が採用されていたと思う。次世代となるMI-500世代もPensandoを使うようだが、Tomahawkを今回のGF製PICと置き換えるのかもしれないが、どうだろうか。

GlobalFoundries(略してGF)は、もともとAMDの半導体製造部門だったと思う。2009年に独立して、その後、2015年ごろにIBMの半導体部門が合体したり、7nmプロセス開発から降りてIBMともめたりしていたような気がする。AMDとはFinFETプロセスのチップを提供するなどでCPU製造を支えていたが、7nm以降には進まないことになったので、AMDはTSMCに乗り換えることになったと記憶している。チップレット時代の幕開けを告げたAMD EPYCの初代Naples (Zen、このときはCCDのみだった)と、2代目のRome (Zen2)のIOチップレットはGF製14nmプロセスで、Milan (Zen3)のIOチップレットがGF製12nmプロセスだったと思う。GenoaのZen4以降はIOチップレットもTSMC製になった。今回はEPYC以外のPICで、再びGFと提携することになったということだろう。

もうひとつAMD関連。AMDのRyzenシリーズで、3D V-Cache構造のCCDを2つ搭載したRyzen 9 9950X3D2のベンチマーク記事が出ているようだ。Zen5の16コア全部でL3キャッシュが192MBという贅沢なつくりとなっている。全コアでコア当りのL3キャッシュ容量が12MB(論理コア当り6MB)となる。その前のRyzen 9 9950X3Dでは、3D V-Cache構造のCCDが1つだった。つまり、標準のL3キャッシュ容量32MBのCCDが8コアと、3D V-Cache構造で92MBのCCDが8コアで、合計128MBだった。これはキャッシュが潤沢に使えるCCDと、そうでないCCDの組合せということになる。このX3D2とX3Dの比較結果が出ているが、X3D2の方が価格が200ドルほど高額にもかかわらず、従来のベンチマークでは性能差がほとんどない結果となっている。ゲーミングユーザーにとってはすこし残念な結果となっているようだ。

ただし、AMDとしてはX3D2はゲーム用途のCPUとは言っておらず、プロフェッショナル向けのレイテンシ感度が高いワークロード用と言っているようだ。(箱にそう書いてある) ベンチマークの比較では、ほとんど差が無かったとなっているが、重たいワークロードでもコア当り12MBのキャッシュをもつCCD1個で用が足りているとしたら、X3DがX3D2になる効果はほとんど無いのではないかと思う。ベンチマークソフトはデータがキャッシュに入ってしまえば、あとは動作周波数と、演算器~キャッシュ間の帯域と、クロック当り命令実行数(IPC)などで決まってしまうからだ。また、CCD間の通信が発生するとIOチップを経由するのでレイテンシが大きくなるが、それはX3D2でも改善はしない。X3Dに比べて、X3D2の大きな効果が見られたベンチマークとしては、ビデオエンコーディングや、OpenFOAM(流体解析)、Poisson(2次元方程式)などだったようだ。エンコーディングはキャッシュが大きい方が有利だし、OpenFOAMやPoissonはHPC用途で見られるベンチマークだと思う。他にも、AIでRAGを行う場合に効果があると伝えている記事があるようだ。

また、Ryzen 9 9950X3D2のサンプル提供については、AMDが数を絞っているという記事もあった。先にも書いたがゲーム用途ではなく、高額でプロフェッショナル用途ということで、AMDとしては一般向けとは少し違うという姿勢があるのかもしれない。とはいえ、ひととおりゲームやそのほかのベンチマークで高い割には違いが無いという評価も、重要な意味があると思う。

ちなみに、Zen5で採用されたX3DとX3D2は第2世代3D V-Cacheと言っており、Zen3・Zen4世代での第1世代の3D V-Cacheとは、コアチップとメモリチップの上下が入れ替わっている。つまり今までコアチップの上にメモリチップを搭載していたが、第2世代は下にメモリチップがあって、その上にコアチップを搭載している。この方が、コアチップの背面に放熱用のヒートスプレッダーが直接当たるので、冷却で有利になるらしい。冷却が有利だと動作周波数が挙げられるし、周波数が上がるということは性能が上がるということだ。冷却能力が性能に影響するのは、ここ10年くらいの常識となっている。

さて、3D V-Caheの第1世代と第2世代の違いは、言葉で書くとメモリとコアの上下関係が入れ替わっただけと思うかもしれないが、実装構造上では、わりと複雑な変更になると思う。第1世代では、コアチップの背面にTSV(シリコン貫通ビア)を開けて、メモリチップを実装していたと思う。CCDは通常のフリップチップ実装(C4バンプ)で、表面(端子面)が下を向いている。背面のシリコンにTSVが途中まで埋め込んであって、背面を削ってシリコン層を薄くすると端子が出てくる。メモリチップはそのTSVの端子に合わせて表面に端子があり、CCDの背中に載せることで、L3キャッシュメモリを増設している。 メモリの表面(Face)をCCDの背面(Back)に接合するので、Face-to-Back接続と呼ばれている。メモリチップが背中に乗るのでキャッシュ容量は増えるが、コアの発熱は抜けにくくなるというトレードオフがあった。

第2世代では、メモリチップの背面にTSVを開けて端子を形成し、パッケージ基板に接続するための端子(C4バンプ)を出している。こうすると、メモリチップの表面(Face)とCCDの表面(Face)をダイレクトボンディングで接続することが出来る。これは表面と表面なので、Face-to-Face接続と呼ばれている。メモリチップ背面のC4バンプを基板に接続すると、CCDが上になって、背面に冷却用のヒートスプレッダーが直接冷却することができる。メモリチップの背面のC4バンプは、メモリチップのためだけではなく、CCDへの電源供給やIOチップとの通信用、制御系や試験系などの端子を出す必要がある。ちなみにC4バンプというのは鉛と錫の合金でできた、直径100umくらいの半田ボールのことで、C4というのはControlled Collapse Chip Connectionの頭文字から来ている。

ここでちょっと疑問が生じる。X3D2は2つのCCDが3D V-Cacheだが、X3Dは片方が普通のCCDというこで、メモリチップが無いCCDの端子面はC4バンプになっている必要がある。つまり、メモリチップに張合わせるCCDと、基板に直接載せるCCDの2つがあることになる。おそらくメモリチップに張合わせるダイレクトボンディング仕様のCCDに対して、C4バンプパッドを形成する追加工程があると思われる。ただし、ダイレクトボンディングは9umとか6um、次世代は4.5umくらいの端子ピッチであるのに対して、C4バンプパッドは昔から150umピッチくらいだったと思う。15倍から30倍くらいスケールが違うので、単純にC4バンプパッドを置くわけにはいかないと思われる。

しかしよく考えると、ダイレクトボンディングはメモリを増設するための接続端子なので、電源に加えてデータやアドレスや制御線等の端子がたくさんあるはずだ。CCDからC4バンプに接続するのは、電源供給とIOチップとの通信用、制御系や試験系で、メモリチップの背面に出す端子と同じ本数(もちろん同じ並び)でよい。ということは、ダイレクトボンディング用の端子はいったん絶縁層で埋めてしまい、C4バンプに出す端子だけ、窓を開けて引き出すにようになっていると思われる。引出し配線が1層ですむのか2層必要なのかわからないが、いわゆる再配線層(RDL)を形成していると思われる。第1世代ではCCDの背面にTSVを埋め込んでおいて削って端子を出していたが、第2世代では絶縁層をかぶせて再配線層を形成していると思うが、どうだろうか。

もちろん、第1世代も第2世代も、半導体プロセスの中でウェハ単位での加工になると思われる。チップとして切り分けた後にできる追加工程とは考えられないので、事前に3D V-Cache仕様のCCDをどれだけ製造するのか、普通のCCDと分けてオーダーしておく必要があるだろう。半導体プロセスの話になるとつい長くなる。

CPUつながりで次の話題。Qualcommのクリスチアーノ・アモンCEOが韓国を訪問するらしい。サムスンとSKハイニクスへ行く予定とのこと。Snapdragon 8 Elite Gen2をサムスンの2nmプロセス(SF2)で製造するのではないかとの記事は伝えている。わかりにくいがSnapdragon 8 Elite Gen2 (EliteのGen2)とは、Snapdragon 8 Elite Gen5 (Snapdragon 8のGen5)のことで、すでにTSMCの3nmプロセスで製造している。今回は派製品をSF2で製造するのではないかとのこと。TSMC3nmはFinFETで、サムスン2nmはGAAトランジスタだったと思うが、同じ設計でトランジスタ型をまたいだ実例となるのであれば、少し興味深いと思う。SKハイニクスではLPDDR5の調達について、交渉すると見られている。

最後にTSMCの話題。TSMC高雄のFab22は5つの2nmプロセスラインを構築する予定らしいが、年間の総電力量が112億kWhと見られているようだ。単位の桁数が大きくて良くわからないが、年間のWhなので、たとえば1Wだと1年間の電力量は、1Wx365日×24hで8.76kWhになる。つまり、年間の総電力量112億kWhを8.76kWhで割れば、Wに換算出来る。112億k÷8.76kは12.8億Wで、1,280,000,000Wと表記すると1.28GWである。原発1基が1GWと言われており、高雄のFab22の年間電力を賄うためには、原発1.3基分を常時稼働する必要があるようだ。

上の方で、プロセッサの性能は冷却能力が決める時代に入っていると書いたが、システムの性能は電力供給能力が決める時代に入っていると思う。ファンやポンプは駆動系だが、半導体そのものは駆動系を持たない。つまり半導体に供給した電力はそのまま発熱となる。たとえばプロセッサに1GWを供給するということは、1GWを冷却するということだ。その供給と冷却の枠の中で、どれだけの性能を獲得できるかが、アーキテクトと回路設計、ソフト開発やシステム開発の腕の見せ所だと思う。

2026年4月20日

そういえば、AWSがAnthropicに250億ドルの追加投資をするようだ。当面50億ドルを投資し、マイルストーンの達成に応じて、さらに最大200億ドルを追加するとのこと。AWSはすでに80億ドルをAnthropicに投資している経緯がある。逆にAnthropicは、AWSに今後10年間で1000億ドルの投資を行うらしい。AWSのTrainiumとGravitonを確保する狙いがあるようだ。今年中に、Trainium2/3で構成する1GWと、将来的に5GWまで確保しているとのこと。現在開発中の、Trainium4が含まれていると思われる。AWSの顧客は、すでにAmazon Bedrock上でAnthropic Claudeを使用できるが、AnthropicはClaudeに対する需要が急増したため、インフラを急いで増強する必要に迫られていると見られる。

AIつながりで次の話題。PositronがOracleと提携したようだ。Positron AIは推論チップを開発しているスタートアップで、2026年後半にAsimov(TSMC N3Pプロセス)というカスタムASICチップをリリースする予定とのこと。現在はAtlasというFPGA+HBMの推論チップを展開しており、Cloudflareなどで実績があるらしい。AsimovはLPDDRメモリを採用しているが、チップ当たり2TBを扱うことが出来るとしている。AsimovがOracle Cloud Infrastructureで実績を積むことが出来れば、空冷で動作するので電力密度の低いCSP向けに展開していくことを考えているようだ。

AI関連でもう一つ。IBMのアーヴィンド・クリシュナCEOが、AIと量子コンピュータの導入についてコメントを出したという記事が出ている。2月のAnthropicショック(COBOL書換えのClaude Codeによる自動化)によってIBMの株価は低下したが、IBM自身がAI推進に力を入れていることを強調しており、同時に量子コンピュータの開発と応用に力を入れていると記事は伝えている。コメントの中では、テクノロジーはこれまで企業活動を支援するものであったが、これからは企業活動そのものを左右する存在へと変わっていることに、まだ多くの企業が対応できていないのではないか、と述べている。

産業革命以来、科学技術(テクノロジー)が産業の発達を促してきたが、テクノロジーそのものが企業活動として成り立ってきたかというと、そうでもない気がする。たしかに鉄鋼や石油・化学などは科学技術そのものだったのだろうと思うが、それらが発達を促したのは、自動車や船舶・航空などの交通機関と、紡績や土木建設などの機械化であった。そのうえに都市整備や流通網、商社などの産業があり、さらにその上に市場や小売りなどのサービスを行う会社がある、という具合ではなかっただろうか。つまり、流通や加工などの産業よりもうえの層は、産業革命以前にもあった構造だが、テクノロジーが機械化を推進し、人間が苦手な移動や建設などで以前ほど苦労をしなくてよくなって、社会が変わったという構図だったのではないかと思う。この、基礎となっているテクノロジーと、一番上にある社会全般の企業とは、少し距離があったと思う。

一方で、家電とともに情報・通信産業が発達し、1960年代から半導体産業が発達し始める。テクノロジーとしては、電子・物性を基盤としていると思う。機械化が進んだ社会の中で、電信電話・コンピュータ・インターネット・通信衛星などが発達した。2000年を越えてスマホが普及すると、半導体が地球上に蔓延して、いろんな産業の基礎に入り込んだと言ってよいのではないかと思う。短絡的かもしれないが、半導体上に形成した電子計算機とソフトウェアで人間の応用力が解放され、情報通信社会が発達した。人間の苦手な計算で苦労しなくてよくなり、都市部の生活が一変してしまったと思う。そして、その情報通信社会の中心企業がIBMだった、ということかと思う。もちろんこれが、現在のAIにつながっている。

半導体テクノロジーの特徴は小型・高速であることとだと思う。半導体を基盤とすることで、科学技術の変化が産業を変え、産業の変化がサービスを行う企業を変えるまでのタイムラグがどんどん短くなっていると思う。テクノロジーへの理解は、もはや「あった方が良い」ではなく「無いと困る」というものなのかもしれない。ここでいうテクノロジーへの理解とは、テクノロジーにどれだけコストを割くかということだ。企業の経営層がテクノロジーにどれだけコストをかけるかで、どれだけ素早く変われるか、ということが問われているのではないだろうか。ダーウィンの進化論は、強者が生き残るのではなく、変化に適応したものが生き残るということを示していたと思う。

IBMのCEOがテクノロジーと企業活動の距離を語るということは、以上のような経緯を踏まえたほうが、真の意味がわかるような気がした。

CEOつながりで次の話題。AppleのCEOが交代するようだ。現在のティム・クックCEOは、9月1に15年の任期を終えて退任し、新しいCEOとしてジョン・ターナス氏が就任するとのこと。ターナス氏は現在、ハードウェア担当上級副社長を務めているとのこと。クックCEOの在任中に世の中に出た主なデバイスは、Apple Watch、Air Pods、Vision Proということになるようだ。しかし、なによりもiPhone事業が拡大の一途をたどっていった、堅実な手腕が評価されるべきかもしれない。次期CEOは、遅れていると言われるAI分野への進出が、クリヤするべき課題になると見られる。

上の話につながるが、次の変化は半導体テクノロジーを基盤としたAI産業の発達ということになるだろう。AIはまだ企業での活用を模索している段階で、個人の嗜好に入り込むのはもう少し先のような気がしている。現在の、エージェンティックAIがビジネスをサポートするような規模の話は産業界の話だと思う。GPUやNPU、CPUが大量に必要だと言っているのはそのレイヤの話で、ただいまデータセンターの準備中である。いま個人でAIを使って文章や絵や動画を生成している人は、プロかハイアマチュアが中心ではないかと思う。プロと言っても昔のような大手のメディアではなく、YouTubeをはじめとしたSNSで稼げる世の中になっているので、誰でもプロになれる世の中になっている。産業界も個人も通して見ると、AIはお金を稼ぐ前提で活用されているような気がしている。(個人で楽しんでいるのは他からはわからないものではあるが)

AIがすべてを加速していくのであれば、社会を変えていくのも早いような気がする。何気ない個人の日常でAIが役に立つ場面は、写真の背景を変える以外にも、もっとあるだろう。AI産業が人間の苦手なものを開放してくれることで、次の社会の変化が訪れるはずだ。計画を立てたり、絵をかいて説明したり、関係者と調整したりすることかもしれない。おそらく、変化の準備は完了していると思われる。AppleやAndroidに搭載されたAIが、AIに支えられた生活の変化を一気に推し進めるときに、その次世代のデバイスが飛躍的に普及するのではないだろうか。スマートフォンに限った話でもないと思し、ひょっとすると最近話題になっているスマートグラスかもしれない。おそらくAppleやAndroidは、タイミングを計っているのではないだろうか。

共通な構造としては、テクノロジーの発達がインフラの変化を推進することで、その上に乗る産業基盤を変質させ、人間が苦手としているものを開放し、サービス企業を変えていく、ということかと思う。推進してきた変化は機械化、情報化、AI化の流れとなっている。テクノロジー・インフラ・変化原理・苦手なもの・サービス、の5つの層(ケーキとは言わないが)で分けてみると、判りやすいのかもしれない。

2026年4月19日

そういえば、インテルのNova Lake-Sに導入されるbLLC(big Last Level Cache)の容量について、ラインナップのリーク情報が出ているようだ。Core Ultraシリーズの400DX/Dの型番を中心に構成すると見られている。400DXシリーズが52コア/288MB、44コア/264MBとなっている。400Dシリーズが28コア/144MB、24コア/132MBとなっており、400シリーズでひとつだけ22コア/108MBがあるようだ。Nova Lake-Sは最大2つのコンピューティングダイを持ち、コンピューティングダイには、Pコア8個とEコア16個が搭載されている。おそらくLPEコア4個はコンピューティングダイには載っていない。仮にLPEコア数を除いたP+Eコアの数でbLLCを割ると、コア当たり6MBまたは6.6MBという容量になる。コンピューティングダイはTSMC N2Pで製造されるようだ。AMDの3D V-Cacheとどう渡り合うか、推移を見守りたい。

インテル関連でもうひとつ。インテルファウンドリが大型の外部顧客を獲得するのではないかとの記事が出ている。リーク記事のようだが、Intel 14Aプロセスに対する期待が高まっているようだ。現在はすでにPDKのv0.5が出ており、間近にv1.0が提供されると見られている。PDKとはProcess Design Kitのことで、トランジスタ性能や、多層配線の仕様と抵抗や容量の値など、回路設計に必要なパラメータやシミュレーションモデルのキットと思われる。半導体プロセスの開発と並行して顧客に提供することで、顧客側では回路設計をすすめることが出来る。半導体ベンダーは、プロセス開発の進捗に応じてPDKをバージョンアップしていく。顧客側ではPDK v1.0で設計したチップの性能を製造前に把握することが出来るので、そこで最終的な採用を判断すると思われる。

大手の外部顧客について、噂レベルではあるがNVIDIA、Google、Apple、AMDが候補に挙がっているようだと記事は伝えている。NVIDIAのFeynmanを委託するウワサは以前からあったと思う。Googleはデータセンター向けのASICチップを委託する話が合ったと思う。Appleは設計は委託しないと思うがファウンドリなら可能性はあるかもしれない。AMDはエイプリルフールでネタになっていたような気がする。他にも、テラファブ関連の話もあると思う。実態はよくわからないが、A14プロセスだけでなくEMIBへの期待も高まっており、インテルファウンドリの未来に明るい兆しが出てきたのかもしれない。

Googleが出てきたのでGoogleの話題。GoogleがTPUに連携する2つのチップを開発するために、Marvellと提携したようだ。ひとつはメモリ処理ユニットで、もう一つはAI処理の実行ユニットらしい。詳細はわからないが、学習と推論という区分だとTPUv8ax/xになるし、TPUはBroadcomとMediaTekに委託している。上でも触れたが、インテルと協業する別のチップもあったと思う。したがって、それらとは異なる用途のチップと思われる。メモリコントローラとCPUのような役割かもしれない。

次はAMDの話題を。Zen7のリーク情報が、一昨日くらいに出ていたようだ。Zen6コアがTSMC 2nmプロセスに対して、Zen7コアはTSMC A14プロセスを用いると見られる。Zen7世代のEPYCは、Florenceと呼ばれるとのこと。Zen7世代ではコアが載るCCDチップレットがいくつかあるようで、Silverton(16コア)とSilverking(8コア)に加えて、EPYC向けに36コアのSteamboatがあるらしい。Steamboatは、A14プロセスを用いたコアの上に、N4Pプロセスを用いたメモリチップレットを3D積層した構造になると言われている。メモリチップレットはひとつ252MBでコア当たりでは7MBの容量となる。FlorenceにはSteamboatを8チップ使うので、288物理コア、576論理コア、キャッシュ容量では252MBが8チップで2,016MB(ほぼ2GiB)となるようだ。上で触れたインテルのNova Lake-SはZen6の対抗だが、コア当りのキャッシュ容量は、FlorenceではNova Lake-Sよりも多くなると見られる。なお、Steamboat以外のCCDは、RyzenやAPUなどのコンシューマ向けと思われる。

また、Florenceには、従来構成のCCDとIOチップ以外に、メモリコントローラが載るようだ。IOチップにはDwarka、メモリコントローラにはMathuraという名前がついており、両方ともTSMC N3Cプロセスで製造されると記事は伝えている。整理するとEPYC Florenceは、CCDはキャッシュメモリ(N4P)の上にコア(A14)をスタックしたSteamboatを8個使用し、2つのIOチップ(N3C)と2つのメモリコントローラ(N3C)で構成される。3つの半導体プロセスで4つのチップレットを用いるようだ。ソケットはSP7/SP8と見られている。メモリコントローラを分けた狙いは、単純にサイズと歩留り(コスト)の問題もあると思うが、DDR規格の変化に柔軟に追従する狙いもあるのではないかと思う。

面白いことに、Steamboat自身はZen6シリーズのIOダイに対応できる後方互換性を保っていると、記事は伝えている。Florenceの登場は2028年中ごろと見られているが、Zen7 IOチップDwarkaとメモリコントローラMathuraが3nmプロセスのため、TSMCの製造状況次第では入手困難になったり、思った以上に値上げになることが考えられる。また、DDR5メモリの状況がひっ迫したままで、今と同じDDR5メモリを使いまわすという選択を迫られる場合も考えられる。そのようなときにZen6 IODを使った製品にすることを想定しているのかもしれない。

ところで、CCDのコードネームで、Stemboatだけは他のSilvertonとSilverkingとは全然違う系統という感じがする。異なるチームが設計したものだろうか。Steamboatは日本語で蒸気船という意味だが、蒸気船というと江戸時代末期の1850年代に、浦賀沖に来航したペリー提督の黒船が思い起こされる。Zen7/Florenceは黒船なのだろうか。

2026年4月18日

ところで、あいかわらずコンシューマ向けのCPU・メモリ事情が厳しいという記事が出ているようだ。潤沢に供給されている高額なメモリと、価格的には手が届くが物が手に入らないCPUという状況になっていると見られる。CPUの供給が滞っているのは、サーバー向けCPUを優先していいるためと思われる。結果として出来上がるのは、少数の高価なPCということになるようだ。実際のところ、インテル製CPUで人気のRaptor Lakeは納期が現実的ではなく、Wildcat LakeのPCは少数しか納入されず、Panther LakeのPCはかなり高額な設定となっている、と記事は伝えている。この状況は、しばらく続くと見られる。

次はGPUの話題。NVIDIAのジェンスン・フアンが、中国のAIの取組みに警戒しつつも、米国の輸出規制を懸念しているという記事が出ている。米国の輸出規制と、中国側の国内保護の動きが続いているのは周知のとおりである。その中国の国内では、DeepSeekがNVIDIAのCUDAから、HuaweiのCANN(Computing Architecture for Neural Networking)上へDeepSeekを移植しているらしい。現行のHuawei製AIチップであるAscend 910Cは、まだH100の60%程度の性能だが、ジェンスン・フアンは、中国国内にはAIのエキスパートが多数いることと、エネルギーが豊富であることから、チップの性能差は問題にはならないだろうと述べたと記事は伝えている。DeepSeekは、今月にHuaweiのAscend 950PRを搭載したv4プラットフォームを発表すると見られており、米国の禁輸措置が中国の技術力の構造を促していると、ジェンスン・フアンは警告を発しているようだ。

GPUつながりでAMDの話題。AMDが、AnthropicからMI450 GPUを大量に受注するのではないかとの記事が出ている。噂ベースのようなので規模などは不明だが、MI450はNVIDIA Rubin対抗である。AIデータセンター向けGPUとして、Heliosラックシステムが1月のCESでお披露目された。一方Anthropicは、NVIDIA GPUとAWS Trainium、Google TPUなど、マルチプラットフォーム戦略をとっており、AMD GPUを加えることでリスク分散を進めるメリットがあると見られているようだ。

続いてNPUの話題。テスラのAI6/6.5のファブについて記事が出ている。AI6もAI5に引き続きサムスンとTSMCの両方で製造される予定だが、AI6はサムスンもTSMCも2nmプロセスとなるようだ。工場はどちらも米国内で、サムスンはテイラー工場(テキサス州)、TSMCはアリゾナ州のFAB21になると思われる。サムスンテーラー工場は2027年稼働予定らしいので、おそらくAI6が製造可能と見られる。一方、TSMC FAB21の2nmは、おそらく3年くらい先かと思うので、AI6の設計完了から製造開始までだいぶ時間が空くと思われる。TSMCでの製造はAI6.5となっており、テスラとしてはその間にエンハンスを行う予定なのかもしれない。

最後にAppleの訴訟問題。Appleのプライバシー侵害に対する訴訟和解金の支払いが始まっているようだ。2014年の9月から2024年の12月までの10年にわたる期間、ユーザーが意図しない状態でSiriが会話の内容を聞き、それを広告企業と共有していたということで、プライバシー侵害の訴訟が始まったようだ。2024年12月末に和解が最終合意に達し、2025年7月までの請求期間が認められていたようだ。和解の内容は、原告には1台につき最大20ドルまで、一人につき最大5台までの補償金、総額にして9,500万ドルが支払われることになったと記事は伝えている。一人あたりの最大保証金額が100ドルとなる可能性を示しているが、実際の支払の平均額は1台当たり8ドル程度で、20ドルから40ドル程度のようだと見られている。

9,500万ドルはAppleから見ると大した金額ではないが、ユーザーとの信頼関係を構築するには大切な問題提起だったに違いないと記事は伝えている。新しい技術は便利ではあるが、社会との間でこのような相互反応を起こし、技術も社会もお互いに変化していくものと考えられる。技術が社会全体に受け入れられていくには、メリットやデメリットが正確に認知される必要があると思う。

2026年4月17日

そういえば、インテルが、Wildcat Lakeを発表したようだ。Panther Lakeの廉価版とみられている。チップレットの構成が2チップとなっている。Panter Lakeで別チップレットになっていたiGPUが、Computeダイに統合されている。ComputeダイはPコア2つとLPEコア4つの6コアで、6スレッドとなっている。EコアではなくLPEコアなので、AVX2が載っていないようだ。NPU5は40TOPSで、Panther LakeのNPU5の48TOPSから2割ほど性能を落としているが、Windows+Copilot PC認定は通る値となっている。また、iGPUはXe3が2コア搭載となっている。Panther LakeでもGPUチップレットはIntel 18AとTSMC N3の両方で作っていたので、設計的にはiGPUをComputeダイに統合してIntel 18Aで製造することは可能となっていたようだ。ComputeダイとしてはPanther Lakeにはなかった構成なので、Wildcat Lake専用チップレットを、Intel 18Aプロセスで開発・製造したと見られる。

プラットフォーム・コントローラ・ダイはPCIe Gen4 x6レーンとなっており、Gen5は載っていない。プロセスも不明で、Panther Lakeのプラットフォーム・コントローラ・ダイ(TSMC N6)の一部の機能を停止したものか、別開発なのかは不明である。全体的にMacBook neoの対抗と思われる。MacBook neoのA18proもPCIe Gen4だったと思う。専用コンピュートダイを製造するということは、それなりの販売数を予定しないと赤字になるような気がする。インテルブランドだから売り先は確保できると思うが、懸念があるとすれば製造ボトルネックと思われる。

インテルCPUで次の話題。インテルのCore iシリーズ第14世代のRaptor Lake Refleshを再販売するかもしれないとのこと。市場のメモリ不足への対応と見られている。LGA1700ソケットで、DDR4/DDR5両方のマザーボードが出るようだ。ブランド名が、Coreのままで、統合NPUが無いためUltraは付けられないだろうとのこと。

インテル関連でもうひとつ。サムスンの製造部門の幹部が、インテルに移籍するようだ。サムスンの副社長で、直近ではサムスンファウンドリの営業部門を統括していたようだ。移籍後はインテルのファウンドリサービス部門の副社長に就任すると見られている。インテルファウンドリは、18Aに外部顧客が付かなかったため、次世代の14Aから外販すると言っていたが、18Aプロセスの歩留まりが目標を越えてきたので、18A-Pを設定して外販する動きを見せていたと思う。また、EMIB-Tや3D Foverosなども需要が出てきているようだ。技術的な準備は整ったが、次に必要なのは顧客獲得力だということらしい。外部顧客の獲得が最優先課題であることは、間違いないようだ。

半導体つながりでTSMCの話題。TSMCがCoPoSの量産開始時期を見直したようだ。最近までは2028年末から2029年にかけて量産化と言われていたような気がするが、最新情報では2030年まで量産は開始されないとしている。均一性と平坦性に多くの課題が見つかったようだと記事は伝えている。改訂後のロードマップでは、研究開発用とパイロット用と量産用の3段階にライン構築を分けたと見られる。まず、2026年は研究開発ラインを立ち上げ、パイロットライン向け仕様を決める。2027年第3四半期にパイロットラインの仕様に基づいて装置を発注する。3四半期をかけてAP7(嘉義)にパイロットラインを構築し、2029年半ばまでに量産仕様を決める。量産仕様に沿った装置を3四半期をかけて搬入し、量産ラインを構築したのち、製品が出荷されるのは2030年第3四半期を予定しているようだ。

CoWoS-Lの大型パッケージサイズには歩留り問題があり、CoPoSへの期待は高まっていると思われるが、CoPoSならうまくいくというものでもないようだ。技術的な課題はしっかり解決しなくてはならない。TSMCの計画では、CoWoSとSoICの製造キャパシティを引き上げるだろうと記事は伝えている。小型のCoPoSを開発してCoWoS-Lに置換えたいわけではなく、CoPoSはあくまで大型を目指していると見られる。今回の改訂で、大型のCoPoSをターゲットに設定した開発計画になったのではないかと思うが、どうだろうか。改訂後ロードマップの方が、現実味があっていいと思う。

TSMCでもうひとつ。TSMCのFAB21・アリゾナ工場が黒字化したようだ。トランプ政権のOne, Big, Beautiful Bill Actによる投資税額控除35%が効いたらしい。

2026年4月16日

そういえば、TSMCの第1四半期決算が発表されたようだ。発表前は、A14までが具体的な最先端ノード名だったが、今回、A13, A12というノード名が公開された。2nmはN2PからN2Uになるとのこと。
・A14は2028年量産・N2比で10~15%性能増・25~30%電力減・20%密度増
・A13はA14のハーフノード前進・2029年量産開始予定
・A12はA14のフルノード前進・2029年量産開始予定
・A12は背面給電(TSMCはSuper Power Railと呼ぶ)に対応・A16の後継ノードとなる
・N2UはN2P後継プロセス・2028年に量産開始予定 

現行プロセスの経営状況としては、3nmの粗利率が今年後半に平均を上回って経営の主力ノードになる見込みらしい。また、HPCカテゴリ(AI関連チップはここに入る)の売上の全体に占める割合が、初めて60%を越えたとのこと。(前回55%) 一方、スマートフォン・カテゴリは26%となり、30%を切ったようだ。(前回32%)

工場建設については、台南に3nm工場を建設中であることに触れ、以下、順次拡張予定とのこと。量産目標の達成後に増設するのは異例の事態で、3nmプロセスに注文が集中している状態を反映していると見られる。
・台南(高雄FAB22)を建設中・2027年前半稼働開始予定
・アリゾナ(FAB21)を建設中・2027年後半稼働開始予定
・熊本(FAB23を建設中・2028年稼働開始予定
・他、5nm/4nmラインの3nm転換もすすめる方針

パッケージングについてもCoWoSを中心に注文が集中しており、CoWoS・InFO・TSMC-SoIC(3D System-on-Chip)などの先進パッケージング事業の売上が10%を超える見込みらしい。アナリストの見解では、旧8インチラインをパッケージング工場に置き換えると見られるている。また、ガラスパネル基板を用いたCoPoSは、嘉義のAP7で2028年末から2029年にかけて量産開始に到達の予定としている。

他に注目を集めた発言としては、インテルとテスラも両方ともTSMCの顧客であることに触れ、ファウンドリ事業に近道はない、有用な技術は難しければ難しいほど良いと述べたようだ。インテルは依然手ごわいライバルであるとともに、インテルとイーロン・マスクのテラファブ構想を念頭に置いていると思われる。過去3年間の設備投資額は1,010憶ドルだったが、今年の設備投資額は560憶ドル。1年で過去3年の半分を越えるペースとなっている。

いくつかの例外はあるが、TSMCがAI関連各社のチップ製造を一手に引き受けている感がある。ほとんどが3nmプロセスとなっていると思う。チップ製造だけでなくパッケージングもネックになりつつある。AI関連のハードウェアの供給元の一番上流はTSMCであることは間違いないと思うので、今後も要注目かと思う。

TSMCつながりで次の話題。Metaが開発しているMTIAについて、最先端のMTIA500を2nmプロセスで製造するようだ。ASICベンダーはこれまでと同じBroadcomで、半導体ベンダーもTSMCと見られる。3月中頃の発表時にはよくわからなかったが、MTIA300は5nmプロセスで製造しているらしい。MTIA400/450は3nmプロセスで、次期MTIA500が2nmで2027年に量産となるようだ。Broadcomのホック・タンCEOはMetaの取締役でもあるそうで、今回取締役を退任し、Metaの相談役になると記事は伝えている。

サーバーCPU関連の話題も少し。AMDの次期EPYCであるVeniceとVeranoのメモリの話題が出ている。2026年に予定されているVeniceまではDDR5 RDIMM/MRDIMMベースのメモリモジュールとするようだ。一方で2027年に予定しているVeranoは、LPDDR5X SOCAMM2対応とするらしい。Veranoは、Instinct GPU向けホストとして設計されており、AIデータセンター向けCPUという位置づけのようだ。SOCAMM2は256GBまでの容量をサポートできるので、同じ主記憶容量であれば、DIMMよりも少ないモジュール数となる。モジュールが少なければDDRコントローラも少なくてよいので、チップ設計にも有利な面があると考えられる。

話は変わってクラウド関連。オラクルとAWSがマルチクラウドで協業するようだ。基本は企業向けに構築されているOCI(Oracle Cloud Infrastructure)のクロスクラウド相互接続技術のようで、パートナーとなっている26社のクラウド間で相互接続できるらしい。これをアマゾンのオープンスタンダードと統合したということのようだ。オラクルと言えばデータベースの会社なので、Oracle AI Database@AWSが、このコラボレーションでさら進むことが期待されているようだ。

最後に量子コンピュータ関連。IBMが量子コンピュータに、B型肝炎ウィルスのゲノムのロードに成功したという記事が出ているようだ。量子チップHeronは、156量子ビットを備えている。どうやら、量子チップでゲノムを符号化し、量子コンピュータで扱えるようになったということらしい。ゲノム解析などのバイオインフォマティクス領域への応用が期待される。

2026年4月15日

そういえば、テスラがAI5チップをテープアウトしたようだ。製造はTSMCとサムスンの両社で行われるとのこと。サムスンは韓国内の2nmプロセスで製造するようだ。TSMCも2nmかと思われたが、こちらは3nm(N3P)での製造らしい。テープアウトというのは、設計完了後に、設計データを格納した磁気テープを製造会社へ引き渡す作業からきた言葉だったと思う。もちろん、今ではネットで転送すればよいので、テープという言葉だけが残っていて、本物の磁気テープで渡すようなことは無いと思う。(磁気テープ自体はバックアップ装置などで残っていると思うが) 記事の見出しに「テープアウト」と書いてあるのを見ると、ちょっと懐かしい気がした。

少し気になったのはテープアウトしたデータのフォーマットである。サムスンとTSMCの2つの半導体ベンダーで製造するとなると、回路は共通だがマスクは別々ということになるので、リリースしたのはいわゆるRTLネットリストになるのかと思われる。昔のテープアウトではマスクデータのイメージデータが入っていたが、マスクデータは半導体プロセスに強く依存する。サムスンの2nmとTSMCの3nmを使うとなると、二重に設計することになると思うが、中間にASICベンダーがいると、設計者はネットリストをASICベンダーにリリースして、ASICベンダーが、それぞれの半導体ベンダーに合わせたマスクイメージにして製造に渡すような段取りになると思う。おそらく中間のASICベンダーがいるのではないかと思うが、どうなのだろうか。

また、AI5のパッケージの完成予定写真も公開されており、チップの両脇にオンパッケージでLPDDR5Xが12チップ載っているようだ。ひとつ16GBとすると、192GBがパッケージ内にあることになる。AI5は前世代のAI4に対して、ワークロードによるが最大40倍の性能に達するという。またAI5単体ではNVIDIA Hopperと同程度の性能らしい。2チップ構成にするとBlackewllクラスになるとのこと。このあと、9か月後にAI6の設計が完了すると見られている。ハイペースなので開発チームが何チームかあるのだろうと思うが、どうなのだろうか。疑問ばかり沸いてくる。

話題は変わって欧州関連でふたつ。Microsoftが、ノルウェーでNVIDIAのVera Rubinを3万チップほどレンタルで獲得したようだ。もとはStargateプロジェクトでOpenAIが手配していたNscale社のデータセンターだったらしい。OpenAIがノルウェーと英国から撤退したため、Nscaleとの契約締結には至らなかったようだ。その代わりに、というわけではないと思うが、MicrosoftがNscaleと契約したと見られる。Microsoftは、2024年度に予算枠の都合で計算リソースの手配をいったん止めた時期があったようだ。そのときにMicrosoftが止めた物件(つまりデータセンター)は、あっという間に他社が契約したらしい。2025年度に、計画に追い付くのに契約を急いだが苦労したようだと記事は伝えており、データセンターの取り合いが始まっていると見られる。ちなみにMS社とNscale社は、テキサス・ポルトガル・英国でも契約しているようだ。

英国の自動運転スタートアップWayveが、AMD・Qualcomm・Armから6000万ドルの投資を獲得したようだ。1ヶ月ほど前に、QualcommとADAS(先進運転支援システム)で提携していたと思う。今回は追加の投資を受けたようだ。2月に12億ドルの資金調達に成功しており、期待と資金が集まっていると見られる。

2026年4月14日

そういえば、NVIDIAが量子コンピュータ向けのキャリブレーションとエラー訂正のツール「NVIDIA Ising」を発表したようだ。量子コンピュータの計算前のキャリブレーションと、計算途中のノイズ除去を行うとのこと。処理内容は生成AIによる推論で、モデルが非常に小さく高速処理が可能な点が強力なメリットのようだ。エラー訂正を持たないNISQ(Noisy Intermediate Scale Quantum)型では、計算の規模が大きくなるとキャリブレーションの複雑度が指数関数的に増すため、計算開始前の課題となっていたが、これが短時間で可能になると見られている。また、誤り耐性型量子計算機(FTQC)のエラー訂正にはノイズ除去が不可欠な処理となるため、これがリアルタイムでが可能になると見られている。

Ising(イジング)という名前がよくわからないかもしれないが、このAIモデルではIsing計算自体は行っていないようだ。(じつは、ここを理解するのが一番難しかった) Ising計算自体は昔からある手法で、ひとことで言うと「最適解だけ」を求める計算方法かと思う。方程式を因数分解して、その中の最小か最大の解だけを求めるような処理になる。方程式を解かなくとも、全要素をランダムに振ってみて、評価関数が最適値になるようなパラメータセットを求めるような計算方式と言えばよいだろうか。もちろん局所解は避けなくてはならないので、テクニックが必要になる。もう少し広く言うと、シミュレーテッドアニールと呼ばれる分野かと思う。量子コンピュータを用いるIsing計算は、量子アニーリングとも呼ばれている。

日本からは、10年ほど前にIsingマシンと呼ばれる計算システムが、日立と富士通から発表されていたと記憶している。日立の方式はISSCCで発表されていたと思うが、プロセッサのキャッシュメモリに使うSRAMを用いた方式で、簡易に大規模なIsing計算を行う。最初にISSCCで発表されたときは、何をやっているのか正直さっぱりわからなかったというのを覚えている。その後、富士通からは別の方式で設計された、デジタルアニ―ラユニット(DAU)というプロセッサが出てきたと思う。良く知られた応用分野としては、サラリーマン巡回問題がある。道路の混雑状況とか、高速道路を使うか、などの条件を考慮したうえで、どのような経路で巡回すると最短の時間(またはエネルギーやCO2排出量など)になるかということを、状況が変化する前に解く必要がある。他にも、作った後で何に使えるかという逆問題探索が行われていたと記憶しているが、当時はそれくらい新しい計算力だったということだろう。

今回のNVIDIA Isingは、上記のようなIsing計算は行っていないようだ。QPU内にある量子ビットの特性をあらかじめ学習して生成AIモデルに反映しておき、QPUの量子ビットではなく、周辺の読出し(測定)や制御装置に対して、計算前にキャリブレーションをかけたり、計算途中のノイズ除去を行っていると見られる。本来ならIsing計算で、どの量子ビットの測定や制御が外れ値になったかを求めるのかもしれないが、これをAIで高速に予測することで、Ising計算することなく対応している。Ising計算の代わりをするAIモデルは、NVIDIA謹製 AI5層のケーキのなかでは、上から2番目のモデル層となる。ここのレイヤはオープンモデルとして提供される方針となっているので、NVIDIA Isingもオープンソースとなっている。 

話は変わるが、サムスンの話題。サムスンの2nmプロセスの歩留まりが55%まで到達したようだ。業界的には、6割を超えると顧客からの受注が可能と見られている。TSMCの2nm歩留りは60~70%となっているようで、サムスンとしてはもう少しといったところか。Qualcommの次世代Snapdragon 8 Elite Gen6は2nmプロセスで製造すると見られており、サムスンに委託するのではないかと言われてが、TSMCになったようだ。

2026年4月13日

そういえば、TSMCのガラスパネルパッケージング技術CoPoSの製造ラインが、今年の6月から稼働するとの記事が出ている。製品化は2028年から2029年にかけてと見られている。6月に稼働するのは嘉義で建設中のAP7で、その後、アリゾナ(FAB21)で2029年から2030年に予定されている2つめのパッケージングラインでも、CoPoSが立ち上がると見られる。CoPoSはChip-on-Panel-on-Substrateの頭文字をとったもので、シリコンウェハは用いずに製造するためCoPoSとなる。

CoWoS-LやCoWoS-Rは、最終的には全面のシリコン基板が残らないが、工程の最初にキャリア材としてシリコンウェハを用いるようだ。そのため、四角いパッケージ基板サイズが、円形の12インチウェハの制限を受けることになる。いまのところ、ウェハ径が12インチ以上なる見込みはないので、大型のパッケージ基板を一括でより多く製造したいというときには、ウェハよりももっと広い基板製造システムが望まれる。マザーボードに用いる多層プリント基板(PCB)は面積は広いのだが、チップを直接搭載できるような、平坦な面を形成することが出来ない。面積CoWoS-Lを用いたRubin Ultraの歩留まりが低いと言われているが、要するにプリント板と同じ系統の材質を使うCoWoS-Lでは大型化に限界が来ており、ガラスのような広くて硬い材質が必要になっているということかと思われる。

半導体関連で次の話題。ラピダスに6,315億円の追加投資が決まったとの記事が出ている。パッケージングなどの組立を指す後工程(バックエンド)の試作ラインが稼働したようだ。ラピダスでもガラスパネル基板に取り組んでいたと思う。また、ラピダスへの投資とともに、NEDOのAI半導体開発事業の業者選定の結果と、予算額も公開されたようだ。業者は富士通と日本IBMで、それぞれの予算額は585億円と175億円とのこと。足して760億円で額として決して少なくはない。1ドル150円とすると約5億ドルとなる。

すこし変わって半導体設計の話題。NVIDIAのBill DallyがNVIDIA社内のチップ設計にAIを適用した例について、解説している記事が出ているようだ。GTC2026で公開された動画で、Google DeepmindのJeff Deanと対話している。二人とも、それぞれ両社のチーフ・サイエンティストである。Bill Dally氏はGPUが深層学習に使えることを2010年ごろに見出していた人で、Jeff Dean氏は2012年のいわゆる「Googleの猫」のプロジェクトリーダーだった人だ。第三次AIブームの火元となった二人と言ってよいと思う。

興味深いのは、NVIDIA社内でのチップ設計にAIを活用しているという話である。チップ設計の途中段階に、セルライブラリの設計がある。セルライブラリとは、論理ゲートと呼ばれる論理回路の最小単位から、ある程度大きな専用回路までをとりそろえた回路のセットのことを言う。機能別に分けるとそれほど多くは無いと思うが、標準型に対して高速型とか小面積型とか省電力型とか、ニーズに応じてバリエーションが発生するので、千種類は軽く超えることになる。記事では2,500個から3,000個くらいのセルがあると伝えている。

論理セルは、半導体ベンダーが提供するトランジスタ特性などの半導体設計情報(PDK)を基に開発する。現在は半導体ベンダーの方でも、標準的なCPUに合わせたトランジスタを開発するようになっており、ある程度トランジスタ試作とCPU設計と性能評価を繰り返してから、PDKをリリースするようだ。CPUには多くの種類の回路が入っており、回路設計とトランジスタ特性の両方を見ながら半導体プロセスを開発する分野をDTCO(Design Technology Co-Optimization)と呼んだりする。チップメーカーでは、半導体プロセスの世代が変わって新しいPDKが来ると、旧世代のセルライブラリを基にして作り直すことになる。記事によると、従来は8人で10ヶ月(よくある工数換算で80人月)かけていたとある。これは、ある程度の規模の専用回路になると、単にトランジスタモデルや配線モデルを置き換えるだけではダメで、トランジスタサイズの調整が必要になることを示していると思われる。

興味深いことに、NVIDIAでは80人月をかけていたセルライブラリの作り直しの作業が、現在ではAIを用いて1日で完了するという。調整まで含めて完了するということかと思う。もちろんNVIDIAならば、計算リソースがほぼ無尽蔵にあると思うので1日でできるかもしれない。重要な点は、AIで自動的な調整を可能にしているという部分だと思う。記事では、専用回路の例としてCLA(Carry Look-ahead Adder)のチューニングを挙げていた。日本語で桁上げ先見加算器とかキャリー先読み加算器と言われるもので、プログラミング言語ならadd命令、電卓なら「+」ボタンで動作する専用回路になる。古典的な専用回路なのでAIに調整させる意味があるのかと思われるが、高速で小面積で低電力で、などの制約を与えると意外な回路を提示してくるので面白いと記事は伝えている。(AI将棋のような感じなのかもしれない)

さらに、記事では、この調整をするAIを使って、若手の設計者が勘所を学んでいると紹介している。AIが自動で調整するのに、なぜ人手が必要なのかと思うかもしれないが、AIが調整できるのは、おそらくAIが知っている回路だけと思われる。AIが知らない新しい回路は人間が設計する必要があるし、調整から解放されたおかげでじっくり考える時間が与えられたということだろう。話が少し横にそれるが、半導体回路の設計者は世界的に減りつつあるそうで、教育現場から対応が必要だという声は、5・6年前から言われているようだ。原因の一つは、考えた回路がシリコンチップになって手元に届くのに、製造工程の都合で半年くらいかかるので、卒論(1年)や修論(2年)を書くための試作が1発勝負になりがちで、学生から敬遠されるということがあるようだ。回路技術は、企業が人材を育成する必要があるのかもしれない。

話をもとに戻す。この記事と動画は、NVIDIAの回路設計の現場感が分かって非常に面白いと思った。GPUやCPUなどのチップは、プロセッサメーカーやCESなどの大型イベントや、HotCHIPSなどのメジャーな国際会議自体が報道されることが多い。先端半導体やトランジスタも半導体ベンダーのイベントやIEDMなどの国際会議自体が報道されることが多い。しかし、中間の回路設計や実装設計は、ISSCCやVLSIシンポジウムなどの関連学会はたくさんあるが、イベントなどの報道では、あまり陽が当たらないような気がする。陽は当たらないかもしれないが、回路屋さんは電気抵抗とか比誘電率とか光の速度とか、最近では熱抵抗なども加わって物理の限界を感じながら回路の高速化や省電力化を行っている。非常に重要な役回りなので、逆に考えると企業秘密(特許などの知的財産)が詰まっていて、大きく報道されることは無いのかもしれないが、知名度はもう少し上げた方が良いかもしれない。

上で触れたDTCOは、半導体開発の国際会議IEDMで始まった。DTCOはトランジスタと回路の最適化だが、最近はトランジスタ開発から回路、LSI、システム、さらにはデータセンターと、全体を通して考えることがだんだん重要になってきていると思う。同時に、考えることが増えて難しくなっているとも感じる。さらには、システムが自動運転やAIとなって、社会に与える影響や、ユーザーの幸不幸まで考える責務があるような気もしている。個別の設計者や研究者や、それらの所属する一企業や研究機関が、果たしてその責務を負うのだろうか。最近はAIブームの巨大な金額に目がくらんだのか、CSR(Corporate Social Responsibility)や、SRB(Social Responsible Business)という言葉もあまり聞かれなくなったような気がする。大きくなり続ける責任は、複雑になっていく構造の中で見えにくくなっていると思われる。

2026年4月12日

そういえば、Appleのスマートグラスについて記事が出ているようだ。第一世代の仕様はほぼ決まったようで、2026年から2027年にかけて発表すると見られている。ARスクリーンのような機能は第二世代以降と言われており、まずはiPhoneとの連携が主な機能のようだ。スマートグラスというとMetaが力を入れているが、他にもQualcommがSnap社と共同開発しているSpec棟スマートグラスもあり、おとといくらいに記事が出ていた。Androidスマートホンと連携すると見られる。2026年後半に発売と記事は伝えている。Apple Glassと競合するというか、スマートフォンユーザーとしては、iPhoneとAndroidでユーザーを取られないように歩調を合わせているように感じられる。

次に半導体の話題。TSMCの四半期決算が近づいている。宝山・新竹のFAB20と、高雄のFAB22が2nmの主な製造拠点となり、A16,A14もこれらの工場で製造されるようだ。A14は新竹で早期運用を目指すらしい。また、台中に予定しているFAB25はA14の工場と見られているが、A10の開発拠点となるとの観測もあり、2025年末からに建設を開始していると思われる。アリゾナのFAB21は、p2(phase2)が装置搬入を開始しており2027年後半に3nmプロセスの製造開始と見られる。p3は建設開始、p4と先端パッケージング(AP)工場の建設許可を申請中とのこと。p3は2nmとA16と見られている。

また、先端パッケージング工場(AP)の計画も出ている。新竹のAP1が2nm向けのパッケージを担い、AP3がApple向けのWafer Level Muti-Chip-Module(WMCM)およびInFOを担う。台中のAP5は台南のFAB25の2nm向けにパッケージングを行う。AP6はSoIC・InFO・CoWoSなど総合的に請け負う。嘉義に開設するAP7は、SoIC・CoPoS・WMCMをカバーする先端パッケージング開発拠点と見られている。また、台南に8番目のAPと、アリゾナに申請中のp4が9番目とさらに2029年から2030年にかけて10番目のAPを予定しているようだ。詳細は第一四半期決算で発表されると見られる。

台湾関連で、軽く衝撃的な記事が出ていた。対米輸出額について、月次ベースで台湾が中国を抜いているようだ。パット・ゲルシンガーがゲスト出演したロングインタビュー動画の中で語られていた。台湾が輸出するものと言えば半導体関連だろう。つまり、米国内にある生活雑貨や工業製品などのメイド・イン・チャイナの輸出額よりも、台湾の半導体関連の方が輸出額が上ということかと思われる。人民元が米ドルに対してほぼ固定レートであるのに対して、最近は地政学的な影響で米ドルに対して台湾ドル安らしいが、1米ドル=30~33台湾ドル程度のレンジのようなので、為替の影響は限定的でAI半導体輸出の急増が要因かと見られる。

また、昨年からのトランプ関税のドタバタの影響で、陸揚げされた中国からの貨物の数も変動しているかもしれないし、トランプのMAGA政策の推進で、米国内での内製化も進んでいるのかもしれない。しかし、いずれにしてもAI半導体の影響が出ていることは間違いないと思われる。中国は輸出大国で、米国は輸入大国である。中国の物を買わなくなったアメリカが、台湾の半導体を買っているという状況には、少し不穏なものを感じるが、私だけだろうか。

2026年4月11日

そういえば、アマゾンのアンディ・ジャシーCEOの年次書簡が出ているようだ。アマゾン全社なので通販や物販の状況から始まるが、低軌道衛星Amazon Leoの展開状況の後に、AIとAWSへと話がシフトしていき、AWS関連が3分の2くらいを占めているようだ。AIとAWSの状況を6つの観点から述べているが、初めにAIについて説明している。その中で、発明王エジソンが電球を発明したときに、人々は「部屋を明るくするには(旧来のランプやロウソクに比べると)良い方法だ」としか思わなかったが、電気が産業や生活に普及して現在のように社会全体を変えることになるとは考えていなかったにちがいない、現在のAIはそういう位置にいる、と述べている。また、電気が世の中を変えるのには40年かかったが、AIの普及速度は、電気よりも10倍以上速いと見ているようだ。

AWSのチップ事業については、現状では自社使用に限られるため、事業としては200億ドル程度の売上高となっているが、今年生産したGravitonやTrainium、Nitroを外販した場合は、500億ドル程度の売り上げになると見ているとのこと。AWSがEC2で提供している計算能力を全て買いたいという申し出が2つの会社からあり、もちろん断ったが、自社チップへの需要が非常に強いことを確認したと述べているようだ。AIチップも、Trainium3の計算能力と18ヶ月先に稼働するTrainium4の計算能力まで、すでに予約が入っているらしい。将来的にはGravitonとTrainiumをラック単位で外販する可能性があると述べている。

AWSのデータセンター事業については、2025年は3.9GWの増設を行ったと述べている。電力が調達できればもっと増やせたと考えているようで、2027年末には倍の電力容量まで伸ばす計画だと述べている。一方で供給能力の制約もあるようで難しい局面が続くと見られる。現在、AWSが支えている会社は、世界全体で9万社にのぼっているが、世界のIT支出の85%は依然としてオンプレに向けられており、膨大な商機があると見ているようだ。AI関連の2026年度の投資予算額が2,000億ドルとなっているが、OpenAIへの1000億ドル以上の契約をはじめ、未公表の多数の契約が進行中であると述べた。2027年から2028年にかけて収益化する見込みとのこと。

ここからはAWSのプロジェクト・フーディーニ(Houdini)の話題。データセンター増設のネックとなっている要因のひとつは、建設速度そのものということで、AWSではいわゆるプレハブ工法を立ち上げているようだ。データセンター内のデータホール内に、サーバールームを構成する電源ユニットやラックを固定する架台(Skid)を、前もって組み立てておいて搬入するらしい。現状はスティックビルド方式で、部材を持ち込んで現地で組上げる方式だが、プレハブ方式ではある程度の単位を前もって組上げておいてトレーラーで運搬し、現地で連結するとのこと。これによって、建屋が完成した後からサーバーの設置まで15週間かかっていた作業が3週間程度に短縮されるようだ。

聞けば簡単に思えるかもしれないが、この方式変更によって、移動する物体の荷重が桁違いに増える。配送拠点からの運搬や、建屋への搬入方法も大がかりになるし、設置先の床の強度だけではなく搬入経路の床部分の強度などをきちんと調査して、必要であれば補強するなどしておかないと大事故につながってしまうだろう。プロジェクト名のフーディーニというのは有名な脱獄マジシャンの名前だそうだ。搬入する架台が脱獄する牢屋の鉄格子のような見た目なのかもしれないと思ったのと、脱獄マジックは間に合わないと燃えたり爆発とかするので、時間と手順を綿密に決めておく必要があるということを暗示しているのかもしれないと思った。ちなみに、日本の脱獄マジシャンというと引田天功が有名である。

プロジェクト・フーディーニは8月から立ち上がり、AWSの年間のデータセンター建設ペースが100を超えることも可能になるだろう、と記事は伝えている。もちろん他にも、データセンターの電源の確保や、サーバーの部材やチップ供給の確保など、ネックとなるものはいろいろとある。しかし、AIやデータセンターがインフラ化していく流れの中では、世界的なデータセンターの建設ラッシュは、しばらく続くと見られる。

AnthropicがAI半導体を開発するという記事が出ていた。先日、BroadcomとGoogleとAnthropicで、GoogleのTPUを使う方向で提携していたと思うが、自社開発もしたいのだろうか。人員や部署ができたとかの具体性はまだないとのことで、実現性は未知数だと思われる。他のAIサービスプロバイダーでも、MetaがMTIAを自社開発しており、OpenAIも自社開発に乗り出しているとのことで、NVIDIA一強体制が徐々に揺らぎつつあるのではないかと記事は伝えている。NVIDIAのジェンスン・フアンは、NVIDIAの強みはGPUハードウェアと、その周辺を繋ぐCUDAのエコシステムにあるとしており、AI向けカスタムASIC開発そのものは脅威ではないと言っているようだ。また、現状ではNVIDIAがTSMCのチップ製造とCoWoSパッケージ製造の予約を抑えているので、カスタムASICを開発したところで製造でボリュームを出せるか、懸念が残るところではあると思う。

NVIDIAが出たところで次の話題。先月の下旬に発覚したSupermicroの元社員によるNVIDIA製GPUの中国への密輸出について、中国国内側の状況を伝える記事が出ているようだ。GPUサーバーを入手した中国側の企業は、NVIDIA Cloud Partnerの認定を受けているらしい。この認定を受けている企業は、中国国内で10社にも満たないようだ。どのように入手したかは触れていないが、H200を載せたサーバーを入手するには、米国と中国から承認を得る必要がある。同社からは、合法的に入手したとの声明が出ていると記事は伝えている。中国国内のAIチップとしては、HuaweiがH20の3倍弱の性能を持つシステムをリリースするなど、向上してはいるようだ。しかし、大学や国営機関からの、H200クラスの要望は多いと見られている。 

中国つながりで次の話題。Qualcommが中国企業CXMTとカスタムDRAMを開発と報じられている。モバイル向けのカスタムDRAMで、現状のメモリ不足からくる対応策のようだ。DRAMの製造ラインが減ったわけではないが、製造されるDRAMはハイエンド品のHBMに向けられているため、コンシューマ向けのDRAMは不足している。先日もQualcommとMediaTekが4nmベースのSoCを大量キャンセルしたという記事が出ていたが、コンシューマー向けのメモリ供給が確保できれば、SoCもキャンセルしなくて済むと見られる。

2026年4月10日

そういえば、インテルファウンドリから、Si基板上にGaNをスタックした研究成果が出ているようだ。基板となるSiは19umで、その上にGaNを張り付けたものらしいが、GaNトランジスタで論理回路を構成して動かしたらしい。GaNトランジスタのゲート長は30nmとのことで、旧来のプレーナー型トランジスタのようだ。トランジスタの断面写真を見ると、NMOSのトランジスタのゲートに対してPMOSのトランジスタのゲートが90度回転して配置されているように見える。結晶の面方位の都合でこうなっているのかもしれない。(Siウェハも結晶の向きでトランジスタの性能が変わる) 試作されたGaNトランジスタの入力耐圧は78V、論理回路のスイッチング速度は33p秒(=30GHz)に達するとのこと。Siチップ上に3D積層でパワートランジスタを配置できると、XPUパッケージまでのエネルギーロスが減るとともに、パッケージ周辺のDDコンバータが不要になると考えられ、小型化が期待できる。

プロセスつながりで次の話題。TSMCのCoWoS-L製造ラインで、NVIDIAのRubin UltraとGoogleのTPUv8e(HumuFish)が競合しているらしく、GoogleはインテルファウンドリでEMIB-Tを用いたパッケージングにする可能性があるとの記事が出ている。TPUv8はパッケージが3種類ある。Broadcomが担当する学習用TPUv8ax(SunFish)、MediaTekが担当する推論用TPUv8x(ZebraFish)、これとは別に大型推論チップTPUv8eがある。このTPUv8eのパッケージ基板にCoWoS-Lを適用する予定だったようだ。CoWoS-Lの製造は、大部分をNVIDIAが予約しているという話もある。また、TPUv8ax/xはHBM3Eを使うが、TPUv8eはHBM4を使うとしている。NVIDIAとAMDのGPUがHBM4を使うので、HBM4の調達も大変なような気がする。

AMDが出たので次の話題。AMD製のGPUでLinuxのVRAM管理を修正するパッチが出ているようだ。8GB未満のAMD GPUを使用している場合に効果があるらしい。例としては、ゲームの解像度を1080fpsよりも上に設定すると、カクつきが出るような場合が解消されるのではないかとのこと。内容はよく理解していないが、システムのメモリがVRAM以上のメモリ割当てを要求するケースを解消しているらしい。GPUドライバがdmem cgroupコントローラーを使用している場合に効果があるので、Intel Xenアーキテクチャにも効果があるのではないかと、記事は伝えている。先週もNVIDIAとインテルからニューラル圧縮でGPUのメモリを節約できるような記事が出ていたと思う。最近のメモリ不足や高騰が、こういった活動の背景にあるのかもしれない。「必要は発明の母」と昔から言われているのを思い出す。

NVIDIAが出たので次の話題。MetaがデータセンターのCoreWeaveに、210億ドルを出資するようだ。2032年まで、CoreWeaveはMetaにクラウド容量を提供するという長期契約とのこと。CoreWeaveは、1月末にNVIDIAのVera Rubinの導入を決めており、5GWのAIデータセンターを構築する計画を公表している。

話は変わるが、Qualcommの話題。BoschとQualcommのADAS(先進運転支援システム)での協業について記事が出ている。両社の協業は2021年あたりから始まっているらしく、共同開発したSnapdragon Cockpit Platformの出荷が1000万台を超えたとのこと。Snapdragon Cockpit Platformは、車と操縦者のインターフェースを担うInfotainmentシステム思われる。今後は次世代ADASを視野に入れたプラットフォームを構築し、レベル2運転を目指すとのこと。2028年に路上走行を目指すと記事は伝えている。

最後に人事の話題。Arm社のRene Haas CEOが、親会社であるソフトバンク(SB)の国際部門の幹部へ昇格するとの記事が出ている。ポストとしては、SBのAIチップを推進しているプロジェクト・イザナギの中心幹部になると見られているようだ。Arm AGI CPUをリリースした実績に照らした人事と思われる。Arm AGI CPUとAIチップを含めた、全体的な戦略を担当する職に就いたと思われる。

2026年4月9日

そういえば、インテルとGoogleがデータセンター向けASICチップ開発で提携ようだ。両社は、以前にもMount EvansというIPU(Infrastructure Processing Unit)を開発していた。(製造プロセスはTSMC 7nm) その後の継機種を開発するらしい。今回の提携の内容では、詳細はわからなかったが、データセンターのワークロードの変化ということに焦点が当てられており、AIワークロードの増加などに伴ってインフラ管理が変わってきたということもあるようだ。今後も複数世代にわたってXeon CPUを推論ワークロードにも使用していくと記事は伝えているが、Googleは独自ArmプロセッサAxionやTPUv8x(推論用)を開発しているので、声明としては両社の結びつきの強さをアピールしているものと思われる。

チップつながりで次の話題。AppleがAIチップBaltraを開発しているようだ。コンシューマ向けではなく、自社環境向けとみられており、NVIDIA GPUへの依存度を下げる取り組みと見られる。仕様などの詳細は不明だが、Broadcomと開発しており、2027年にTSMCの3nmプロセスで製造されるらしい。パッケージはサムスンのガラス基板ではないかとの情報もあり、TSMCの以外のパッケージングも、視野に入っていると思われる。

MediaTekのDimensity 9600proがTSMC N2Pプロセスを採用し、5GHzを目指すとの記事が出ている。高性能コアはArm Canyonコア、効率コアはArm Gelas-bコア、効率コアはArm Gelasコア、GPUはArm Magniとなっている。SME2を搭載するらしい。CanyonコアやGelasコアが何かはよくわからなかった。Snapdragon 8 Elite Gen6も2nmプロセスで5GHzに到達すると見られており、モバイルプロセッサの高周波数化が顕著になってきているようだ。

続いてNVIDIA関連。NVIDIAのN1チップが搭載したPCボードの写真が流出したようだ。年内にN1X/N1を搭載したノートPCをリリースすると見られていてる。N1X/N1はGB10と同じという情報もあるが、詳細はよくわかっていない。今回の写真はN1として出ているがGB10と同じらしい。まわりに、128GBのLPDDR5Xが搭載されている。GB10と同じとすると、CPUはGraceと同じ高性能コア10個と、Arm製の高効率コア10個の20コア構成となる。iGPUはBlackwellで構成される。ふつうのノートPCよりも潤沢なメモリ構成になると思うが、価格がどうなるかちょっと注目かと思う。

また、NVIDIAのRubinが、HBM4の入手がボトルネックで生産が減速するとの観測が出ている。HBM4を製造するSKハイニクスが、Blackwell向けHBM3eに注力するため、Rubin向けHBM4は製造ボリュームの立上がりを少し緩やかにすると判断したようだ。これによって、出荷されるGPUの中でRubinの占める割合29%から22%に下がるとのこと。 

NVIDIAつながりでもう一つ。SiFiveが、NVIDIAやAtreidesマネジメントから4億ドルの資金を調達したようだ。SiFiveはRISC-Vアーキテクチャの設計会社で、今回得た資金でデータセンター向けCPUの開発を行うとのこと。開発しているP870 CPUをP870-Dとしてデータセンター向けに拡張するようだ。データセンター向けとはいえAI対応は求められると思うので、FP8やFP4に対応したベクトル演算器や行列演算器を、開発する必要があると思われる。一方で、NVIDIAはArmアーキテクチャのCPUを製造しており、今回のRISC-V陣営への出資はよくわからない気もするが、SiFiveは今年の1月にNVLink Fusionへの準拠を決めている。NVIDIAの狙いは、CUDAのRISC-V対応を進めるということかもしれない。

最後に雇用関係の話題。Meta・オラクル・Qualcommが、カリフォルニアでの人員を削減しているとの記事が出ている。AIへの投資額を増やす一方で人員削減をすすめると、AIによる人の置換えではないかという推測が出るのは無理もないだろう。ただし、AIに限らず、高度な設備の導入や外部環境の変化に対応して企業は構造改革を行う。その過程で人員削減や配置の見直しが出るのは当然ではある。AIが関係すると社会の不安が増す傾向にある。企業の説明責任が問われていると思う。

2026年4月8日

どうやら、インテルがイーロン・マスクのテラファブに参画すると発表したようだ。米国企業連合が形成されたという点では、自然な形だと思う。といっても、今回は参画の表明だけで、具体的な資本関係などは決まっていないと見られる。テラファブ構想の中では、これから2nmプロセスのファブを建設することになっていると思うが、インテルがすべてのラインを提供したとしても、年間1TW計算能力の所要は満たせないと思う。したがって、ファブ建設やライン構築のアドバイザー的な立場での参画ではないかと思うが、どうだろうか。テラファブ構想には賛否両論あると思うが、個人的には期待したいと先月下旬に少し書いた通りである。目先の事業として、テスラのAI6チップの製造などはあると思うが、これから具体的な取引に発展するか、推移を見守りたい。

インテルつながりで次の話題。インテルとSambaNovaが分割推論のブループリントを発表したとの記事が出ている。分割推論とは、推論処理をプリフィルとデコードに分けて、それぞれを異なるアーキテクチャで最適化する方式で、今回はプリフィルにはGPU(機種は不明)、デコードにSambaNovaのSN50 RDU(Reconfigurable Dataflow Unit)、エージェントオーケストレーションにXeonを用いるようだ。SN50の製造プロセスは、TSMCの3nmではないかと見られているようだ。AWSが先月の中ごろに発表していた分割推論では、プリフィルにTrainium3、デコードにCerebrasのWSEを使っている。WSEを使う理由はメモリ帯域幅で、デコード部は高速応答が重要と見られる。同様に、NVIDIAのLP30(旧Groq)もSRAMでメモリ帯域を稼ぐ方式となっているが、SRAMは高速ではあるが容量が小さいため、LP30はチップをたくさん並べる方式をとっている。SN50では、SRAMが500MB載っているが、パッケージにさらにHBMを乗せている。

インテルのCPUは、推論を行うAIエージェントのオーケストレーションを担当するとなっている。既存のデータセンターに対してはXeon CPUの方がまだ親和性が高いとしており、x86が優位であるということのようだ。ただし、今回のインテルとSambaNova(とGPU)の組合せで、推論処理のブループリントを決めたと言っても、これは誰が買うのかがよくわからない気もする。AWSやMSやGoogleなどのクラウドサービスプロバイダと、OpenAIやAnthropicやmetaなどのAIサービスプロバイダはすでに独自システムを持っており、NVIDIAとAMDは投資付きAIラックシステムを入れて回っている状況だと思う。もっとAIシステム市場が広がって自前でシステム開発しないレイヤーが増え、商機が訪れることを期待していると思われる。

AIつながりで次の話題。BroadcomとGoogleとAnthropicで戦略的な提携を組んだとの記事が出ている。BroadcomはASICベンダーとしてGoogleのTPUの製造を請け負っている。実際の製造はTSMCだが、Googleが設計したTPUをチップにするためには、マスクイメージにしてファブに渡したり、ファブとの製造調整や製造後の出荷試験や納品などを担当する。今回の提携では、TPUを出荷する先のAIサービスプロバイダーとして、Anthropicも加わったということで、設計・開発・製造と購入先まで含めた枠組みになったと思う。AnthropicはTPUの以前からのユーザーで、今回5GWのデータセンターを構築するとのこと。思えば、NVIDIAやAMDは自前で開発してTSMCで製造したGPUを、投資付きでデータセンターへ入れているので、なんとなく似たような話だと思う。やはり半導体は、開発する段階で誰が使うか(どうやって儲けるか)まで、計画を立てたうえで開発するのが、セオリーとなっているように思われる。

Anthropicの話題でもう一つ。Anthropicから、Project Glasswingと呼ばれる取組みが発表されたようだ。AIサイバーセキュリティに関するプロジェクトで、AWS・Apple・Google・Microsoft・Broadcom・Cisco・Linux Foudation・NVIDIA・Palo Alt Networksなど40社ほどが参画しているらしい。取組みの内容は、Claude Mythos Previewという未公開のAIモデルで、セキュリティ対策のために各社のITツール類の脆弱性を検査している。成果の中には27年間未発見の脆弱性が見つかった例もあるとのこと。さすがにこのAIは一般公開はされておらず、いわゆるホワイトハッカーAIと言ったところだろうか。会社側としては脆弱性は認めたくないかもしれないが、早期発見・早期対策が適切なのではないかと思う。こういう取り組みが重なっていくことで、セキュリティリスクのない社会になると良いと思う。

最後に地政学的な話題。ヘリウム供給の危機について記事が出ていた。韓国はヘリウムの輸入の約65%がカタールからで、今回の湾岸情勢の影響を打受けると見らているが、ドイツとアメリカから米国産ヘリウムの調達契約を結んだとのことで、4ヶ月分ほど確保したようだ。台湾もヘリウムは輸入に頼ってはいるが、リサイクルの回収率が高く、備蓄も2ヶ月ほどがあるらしい。日本でもキオクシアがメモリを生産しているので影響はあるが、日本は60%が米国からの輸入とのことで、カタールへの依存度は減らす方向とみられる。米国はインテルだが、世界中に製造拠点はあるものの、ヘリウムの生産量は米国がトップ(テキサス州・ワイオミング州・カンザス州・オクラホマ州などで産出)なので、相対的に安定と見られている。

2026年4月7日

そういえば、ウーバーがOCI(Oracle Cloud Infrastructure)からAWSに乗り換えるという記事が出ている。もともとウーバーは自前のデータセンターを持っていたらしいが、2023年からOCIおよびGoogleと契約していたようだ。CPUにArmアーキテクチャのAmpere Altraを使っており、2025年12月にはAmpere One M(192コア)で性能を調整したというプレスリリースが出ていたようだ。ところが、4月になって、AWSでGraviton4とTrainium3を利用する方針に切り替えたらしい。AWSでは、経路学習をTainium3で行っており、ウーバーの配車のマッチングをGraviton3で行うようだ。

AWSつながりで次の話題。インテルファウンドリがAWS、Googleからパッケージングで受注間近と見られているようだ。おそらく、GoogleはTPUv8、AWSはTrainum4の組立てと見られている。Trainuim4の製造プロセスは不明だが、TPUv8はTSMC 3nmプロセスで製造されており、推論用TPUv8x(ZebraFish,ASICベンダーはMediatTek)と学習用TPUv8ax(SunFish,ASICベンダーはBoradcom)がある。TSMCのCoWoSをはじめとするパッケージングの生産能力は限界に達していると見られており、インテルファウンドリのEMIB-Tに期待が移っているようだ。

インテルファウンドリはマレーシアの先進パッケージング工場(プロジェクト・ペリカン)と、ニューメキシコ州にあるFAB9とFAB11X、韓国松島のアムコーK5工場でパッケージングを行うとしており、ポルトガルとアリゾナにも追加の施設を検討しているとのこと。また、半導体の方では、MicrosoftのMAIA 3をIntel 18Aで製造する予定があり、このパッケージもインテルファウンドリとなる可能性もあると思う。

インテルのCPUとNVIDIA GPUが接続されるという記事が出ている。コードネームが Serpent Lakeという以上の情報は無いようだが、2028年もしくは2029年に出るのではないかと見られている。昨年、インテルがNVIDIAから50億ドルの出資を受けるときに、NVLink Fusionに対応することも併せて報じられていたと思うが、今回のSerpent LakeがNVLink Fusionを用いるかどうかは触れていないようだ。来年早々にNova Lakeが出るとされており、その後はRazor Lake, Titan Lakeが予定されているが、Serpent Lakeはタイミング的にはTitan Lakeの派生品になると見られているようだ。 

接続規格つながりで次の話題。GPU接続規格を開発しているUALinkコンソーシアムが、ver.2.0を公開ようだ。AIデータセンター内のGPUなどの相互接続規格を開発しているコンソーシアムで、AMDやBroadcom, CISCOなどの、NVIDIA以外のメーカーで構成されている。おそらくNVLinkによるベンダーロックインを回避するための規格化と思われる。ただし性能的にはこれから、2025年8月にリリースされたv1.0をシリコンで実現したチップはまだないらしい。そういう状況で今回v2.0がリリースされたようだ。NVLinkと競合する性能になるのは、v3.0とのこと。NVIDIAもNVLink Fusionでエコシステムを構築し始めている。今後の推移を見守りたい。

続いてNVIDIAのデータセンター関連。製薬会社のロシュが、NVIDIA Blackwell 3500基以上でAIファクトリーを構築したとの記事が出ている。Lab-in-the-loopアプローチのフレームワークを採用することで、ターゲットとなる物質の同定と治療モデルの最適化やプロセス開発を並行して行うことが可能になると思われる。製薬業界最大規模のAIインフラになるとのこと。また、NVIDIAが出資する、オーストラリアのデータセンター構築業者Firmusが、株式市場から5.5億ドルを調達したという記事が出ていた。年内のIPOを目指しているとのこと。あんまり考えたことは無かったが、データセンターを専業で建設する業者がいても不思議ではない、というか、もっと増えるかもしれない。

最後に証券関連。NVIDIA、Apple、Alphabet(Google)、Microsoft、Amazonの、インサイダーによる申告された取引額が出ている。合計の売却額は160億ドル、合計の購入額は839万ドルとなっている。以下内訳、NVIDIA:売却41.1億ドル/購入0ドル、Apple:売却3.651億ドル/購入0ドル、Alphabet(Google):売却4.014億ドル/購入459万ドル、Microsoft:売却2.786億ドル/購入344万ドル、Amazon:売却109.3億ドル/購入0ドルとのこと。ほとんどはNVIDIAとAmazon。売却も税金対策などの事情もあるので、一概に売り抜けたとは言えないと思う。ただ買ってないのは気になる。

2026年4月6日

そういえば、NVIDIAがSlurmというオープンソフトのオーナーになっている件について、懸念する声が出ているようだ。Slurmはスーパーコンピューターのタスクのスケジューリングを行うソフトで、シェアが60%くらいあるらしい。スパコンにはNVIDIAだけでなく、AMDなどのGPUが載っている。去年の12月に、NVIDIAがSlurm開発元のSchedMDという会社を買収したが、その後、Slurmの新しい計算リソースへの対応について、NVIDIA製のGPUを優先するのではないか、との疑念が同社に向けられているようだ。もちろんNVIDIAからは、公平な対応を行うとの声明が出ている。NVIDIAにしてみれば言いがかりのような気もするが、企業の姿勢が試されるというものかもしれない。オープンソフトのソースコードを保有する会社には、公平性を確保する責任がついて回るものと思われる。

次にAI性能の話題。AnthropicのClaude Codeが、急な性能低下を起こしたとの記事が出ている。今年の2月にClaude Codeのユーザーから、思考内容の説明を省略するような挙動が見られたとの声が上がっていたようだ。3月初めにもバージョンアップがあり、こんどはAMDのエンジニアチームの一部から、少ない考えで結論を出したり、考えるの途中でやめるような「怠惰な」挙動が増えたため、Claude Codeの使用を中止し、別のAIに変えたと記事は伝えている。Anthoropicでも修正は試みているようだが、AMDのエンジニア側は戻れずに保留となっているようだ。

記事が伝える状況としては、結論を出すまでのトークンの量にばらつきが多く、少ないトークンで出す結論は、浅はかな説明に終わるようだ。思考の深さとトークンの量が直接比例するものかどうかはわからないが、もし比例するのであれば、慎重な判断を求められる業務には、ある程度のトークン生成量を保証するような仕組みが必要ということかもしれない。人間同士の会話では、単純なやり取りに見えても裏に深い思索が隠れている場合もある。また、国連のガイドラインでも、AIの判断には説明責任が求められるとされていたと思う。AIがエージェンティックに活動するときには、思慮の深さ可視化されるような設計が求められているということかもしれない。

2026年4月5日

そういえば、インテルとNVIDIAから、同じような画像の圧縮技術に関する記事が出ている。インテルはTSNC(Texture Set Neural Compression)と呼んでおり、NVIDIAがNTC(Neural Texture Compression)と呼んでいるようだ。詳細はよく理解していないが、両社ともニューラルネットワークで、テクスチャをあらかじめ学習しておくことで、エンコード時の圧縮効率を上げる手法と見られる。この手法で、VRAMのメモリサイズが小さくて済んだり、同じメモリサイズであればより高画質にしたり、ということが可能なようだ。

このニューラル圧縮(という言い方が適切かどうかはよくわからない。TSNCとNTCの共通の単語の並びを抜き出しただけだが)は、従来手法のブロック圧縮よりも効率がよく、インテルでは9倍から18倍の圧縮率を達成し、NVIDIAではメモリの使用量が7分の1になったと記事は伝えている。テクスチャなので、動画の背景画像などに大きな効果があるのではないかと思う。両社のGPUには、NVIDIAはTensorコア、インテルはXMXといった行列演算器がある。行列演算器をAI用途ではなく画像処理に有効活用した結果となっているようだ。

GPUが画像処理だけではなく、ニューラルネットワークに使えるということで行列演算器が載ったが、行列演算器があるなら画像処理に利用してみたという感じかと思う。歴史が一回転した気がするが、大げさだろうか。

つぎに半導体関連。サムスンがテキサス州で建設しているテイラー工場について、記事が出ていた。2nmプロセスのラインを構築しているようだ。当初は4nmプロセス向けに計画されていたが、2nm向けに変更されたと見られている。2027年稼働開始とのことで、米国内では、TSMCよりも早く2nmプロセスをファウンドリとして提供できる見込みらしい。TSMCのアリゾナは、2027年に3nmラインが稼働の見込みだったと思う。現在、インテルファウンドリはIntel 18Aプロセスで自社CPUを製造しているが、MicrosoftのMAIA3を18Aで製造するとの話があったと思う。他社製品を製造すればファウンドリサービスと言えると思う。2nmクラスのファウンドリサービスという観点では、サムスンとインテルのどちらが早いだろうか。

2026年4月4日

そうえば、インテルがNova Lake-Sの一部のコア数を変更するようだ。最多コア数は52コアで変更ないが、その次のクラスのコア数を、42コア(うち14Pコア)から44コア(うち16Pコア)へ変更するらしい。Pコアのコンピュートタイル2つで構成するようだが、14コアだと7個ずつでちょっと腑に落ちなかったが、16コアだと8個ずつで納得できると記事は伝えている。(歩留まりが悪いと7個ずつにして出すという案もあり得ると思うが) Eコアも2チップレット構成で、最多コア品で16コアずつ、次のランクで12コアずつとなっているようだ。あと、LPEコアが4個載ることになっている。つまり、52コア=16Pコア+32Eコア+4LPEコア、44コア=16Pコア+24Eコア+4LPEコアとなる。

また、一昨日にはNova Lake-AXの記事が出ていた。LGA4326ソケット(37.5mm x 56.5mm)でNova Lake-SのLGA1954の倍以上のサイズと見られている。巨大化の原因は、iGPUと見られており、Xe3pアーキテクチャを用いたCrescent Islandという推論用GPUが載るようだ。Xeコアを48個備えているとのこと。画像処理用としても強力な処理能力と思われる。

ちょっと変わって製造関連の話題。Broadcomによると、AIシステムのサプライチェーンでは、光トランシーバ―用の小型プリント板(パドルカード)がボトルネックとなっているようだ。大きくは3つのボトルネックがあり、ひとつはウェハ(チップ)であることは間違いないが、シリコンフォトニクスで用いるレーザーの製造能力と、そのコネクタ用プリント板の納期が長くなっているらしい。先々週にはTSMCの製造能力がボトルネックと言っていたような気がするが、2つ増えたようだ。

パドルカードと呼ばれるこの小型のプリント板(PCB)は、精密な部品で、信号線の途中でインピーダンスが不整合を起こすと、波形が歪んで正確な伝送が出来なくなってしまうため、インピーダンスを保証した設計と製造が求められる。100Ω系や50Ω系などと言うが、ストリップライン構造をとる場合は、配線幅とグランド面からの距離と絶縁体の比誘電率で決まる。線路間のクロストークノイズなどを考慮すると間隔も考慮する必要がある。これらの要求を満たすには、ビルドアップ工法で製造することになるが、実はプロセッサの基板も同じ工法で作られる。とくにHBMを搭載するようなCoWoS-Lは配線の仕様は近いのではないかと思われる。つまり、パドルカードとプロセッサの基板が製造ラインの取り合いになっていると見られる。納期に影響が表れており、6週間が6ヶ月となっているようだ。

レーザーモジュールも、InPダイオードの製造がボトルネックになっており、6インチウェハで大量生産できるメーカーは限られているらしい。AIデータセンターでは高温環境で連続波(CW)が要求されるため、レーザー光源を冗長にする対応がとられており、1+1冗長となると単純に2倍のレーザー光源が必要となるようだ。InPダイオードメーカーは何社かあるようだが、たとえばNVIDIAが出資しているCoherentやLumentumが、1社からの受注分で手いっぱいになってしまうと、他のメーカーへ回る分は少なくなってしまい、調達がボトルネックとなる。

全てが1チップに収まる半導体の製造であれば、TSMCが製造装置を拡充すれば生産量は増えるが、パッケージングの世界は部品を持ち寄ることで成り立つため、どこかが滞ると最終製品に行きつかない。これまでもよりも、より緊密な国際協調が求められるようになると思われる。

2026年4月3日

そういえば、TSMCの4nmプロセスについて、Apple以外の顧客に対して3nmへのシフトを促しているという記事が出ている。4nmは5nmプロセスの改良版なので、5nmと共通の製造ラインを使っていたと思う。現在3nmプロセスは製造ラインが足らない状況と見られており、4nmの顧客を3nmに誘導することで、3nmプロセスの顧客と製造ラインを増やそうとしているようだ。顧客が増えればラインを増やせる。ラインが増えれば詰め込める顧客数も増やせる。回路設計の視点からは、4nmから3nmに製造プロセスを変えると再設計になる部分があるので簡単な話ではないが、3nmまではトランジスタがFinFET型なので、たとえばプレーナ型からFinnFET型に移るような場合の調整よりは、比較的少なくて済むと見られる。EDAベンダーの自動変換、自動調整、自動検証などのサポートツールもあると思うが、どうだろうか。

次にインテル関連。インテルCPUの5月の値上げが報じられている。中国向け市場は値上げが続いているようだ。日本市場でも、年度が変わったせいか、Xeon6のWeb価格が値上げになっているのを確認した。10%-12%の値上げとなっている。

続いてAMD。AMDの次期Ryzen AI 500シリーズと見られるMedusa Pointの記事が出ていた。試作結果が登録されたようだ。Zen6ベースで、10コア/20スレッド、L2$が10MB、L3$は32MB、最大周波数2.4GHzらしい。製造はTSMC 2nmプロセスと思われる。試作評価用のプラットフォームの名前はPlum-MDS1と出ているが、周波数は2.01GHzで、これから上がると見られている。

ちょっと変わったGPUの話題。GDDR6メモリに脆弱性が確認されたとの記事が出ている。GPUに搭載されているGDDR6メモリ(GDDR6X・GDDR7は対象外)に対してRawhammer攻撃を行い、GPUのページテーブルを破壊することでCPUのメモリ制御権を得る手法を編み出しているとのこと。対象となるGPUは、NVIDIA AmpereからAda Lovelaceまでのファミリーの一部らしい。対策としてはIOMMUを有効にすることと、またはGPU側のエラー訂正をオンにすることで攻撃の経路が遮断されるようだ。

最後にLLMの話題。GoogleのオープンウェイトLLMのGemma4がリリースされたようだ。大型の21Bと31Bモデルは大容量VRAMを積んだGPUが必要だが、E2B, E4Bと言った小型モデルも用意されている。NVIDIAとAMDから、サポートについて記事が出ている。NVIDIAはJetson Orin Nanoエッジデバイスに搭載するらしい。AMDはCPUとGPUでサポートするとのことで、LMStudioなどでダウンロードしてデプロイ可能とのこと。

2026年4月2日

そういえば、IBMがArmと提携したようだ。IBM z17メインフレーム上で、Armのアプリケーションが動作するようになるとの記事が出ている。IBM側はデュアルアーキテクチャと名乗っており、カーネルベースの仮想マシン(KVM)がarm64コードにも対応したということらしい。先日のArm AGI CPUの発表で、IBMの名前が無いのが少し気になっていたが、別角度から取組んでいたと見られる。

取組みの背景としては、Armアーキテクチャが占めている2つの主要な分野があるようだ。ひとつはクラウドサービスプロバイダー(CSP)が導入するCPUに、Armコアが増えてきたということだ。2025年の主なCSP(AWS,Azure,Google)が調達したCPUのうち、Arm CPUが50%を越えていた思う。2つめはAIの学習や推論システムのCPUにArmアーキテクチャが多く使われているということがある。NVIDIA GPUと各社NPUはArm CPUとつながるものが多いと思う。また、IBMのz17メインフレームにもTelumIIやSpyerアクセラレータなどのAI環境がある。

この取組みの進展はこれからとは思うが、IBMメインフレーム上の仮想マシンでArmアプリが動作することで、基幹業務に関連したファイルシステムにアクセスするとともに、AIワークロードのz17への移植が進められていくと考えられる。クラウド環境と同じArmアプリが走ることは、ユーザーへの利便性につながり、メインフレームの堅牢性は基幹業務のデータ主権を確保することにつながると思われる。IBMからはメインフレームに延命につながり、Armからは基幹業務ドメインへの進出になるので、双方メリットがあると思われる。

AI関連でQualcommの話題。QualcommのAI200推論チップについて記事が出ていた。2019年にAI100という推論チップが発表されており、2020年にチップが出来上がったあとサンプル出荷されていた。その後、2025年春ごろにDellから拡張カードで発売されていたようだ。去年の10月に、後継となるAI200/250が発表され、AI200が今年、2026年に、AI250が2027年に出ると見られる。今度はラックでの登場となるようだ。AI100はTSMC 7nmプロセスでの製造だったが、AI200/250で今年中に量産機が出るのであれば、今度は3nmあたりかと思われる。

インテルのBOT(Binary Optimization Tool)がベンチマークに影響している。BOTを有効化すると、Geekbench 6.3では初回起動に40秒かかり、2回目以降では2秒ほどになるという。 Geekbench6.3ではBOT有効化でスコアが5%以上向上したが、6.7では起動遅延はあるものの、スコアの向上は1%未満にとどまったようだ。Geekbench社は、BOT対応のアプリは一部であることから、CPU性能を正しく反映できていないと判断したとのこと。

ベンチマークつながりでNVIDIAの話題。NVIDIAがMLPerfの推論で記録を更新したとの記事が出ている。今回はMLPerf Inference v6.0となっており、大規模での新しい推論ベンチマークが5つが追加された。MLPerfベンチマークとしても、これまでの学習から推論に重心が移っているとのことで、トークンコストが重要になってきていることを示すと記事は伝えている。

NVIDIAの中国国内のシェアが、60%未満に落ちているようだ。2025年4月以前では、中国国内におけるNVIDIAのシェアは95%だった。4月にトランプ大統領から禁輸措置が出て7月に撤回されたものの、米商務長官から追加の条件が出ると、中国側が発注を止めた。その後、12月にもう一度トランプ大統領から解禁の支持が出たが、中国側では指定された機関などに限られた輸出となっている。この間、AIチップはHuaweiがAtras350などを開発し、中国内製化がすすん。結果的に現状ではNVIDIAが55%、Huaweiが20%、Aribabaが6.4%、AMDが4%、Baiduが3%、Cabriconが3%などとなっているようだ。

NVIDIAつながりでもう一つ。カナダのケプラー・コミュケーションズ社が、10基の衛星に4つのNVIDIAのJetson Orinモジュールを搭載して打ち上げるという記事が出ている。NVIDIAはGTCの基調講演でも宇宙に拡張していく構想を打ち出しており、Starcloud社はすでにH100を搭載した試験衛星飛ばしているとのこと。NVIDIAも宇宙線対策などハードウェア開発を進めているようだ。

最後に地政学的な話題。バーレーンのAWSまた攻撃を受けたようだ。3月の初めにUAEの2ヶ所とバーレーンの1ヶ所に被害があったと思うが、それとは別とみられている。AWSからは他のリージョンへの移行が案内されている。ダッシュボードは、3月から中止の状態になっており、詳細は不明とのこと。データセンターは一部で火災が起きるとスプリンクラーが作動して、全体が水害でダウンするという話もある。基本的に「平時が前提」で設計されているような気がするが、有事に添えるとコストが上がるような気もする。戦争以外でも、自然災害などで被害が出ることはあり得る。平和なときに考えておくべき課題かもしれない。

2026年4月1日

ところで、NVIDIAのGPUであるRubin Ulltraのパッケージングが少し難しいとの記事が出ているようだ。Rubin Ultraは、GPUダイが4つとHBMが16個の、巨大パッケージである。パッケージ基板に有機インターポーザ―であるCoWoS-L(Lはラミネートの意味)を使うが、どうも基板サイズが大きすぎて反りが許容範囲を超えてしまうらしい。どんな材質であれ、反りは必ずあるのだが、面積が大きいと反りが許容範囲を超えてしまい、チップの下面にある端子が一部接続不良になる。大面積でも反らない材質は、高価でコストが上がってしまう。代替え案として、ガラス基板のインターポーザ―(パネル)を用いるCoPoSが期待されている。

ただし、ガラスは二酸化ケイ素(SiO2)で熱抵抗が大きい。シリコンインターポーザ―に比べると、熱がチップの下からは抜けて行かないような気がしているがどうなのだろうか。チップ下面の端子と基板のパッドは金属接合しているので、電源(VとG)端子を介して熱が十分に拡散してくれると良いのだが。そうなるためには、ガラス基板内に熱拡散のための金属配線を入れておいて、それをパッケージ基板に金属接合して熱を逃がしていくような設計が必要になるような気がする。電源やグランドの配線がその役割を果たすと思うが、チップ内の電圧分布と発熱分布を両方カバーするように設計するための、高度な設計環境が必要になると思われる。

パッケージングつながりで次の話題。TSMCのシリコンフォトニクス対応パッケージ技術COUPEが2026年内に製造開始の見通しとの記事が出ている。BroadcomのTomahawk 6やNVIDIAのSpectrum 6に用いられている技術で、パッケージ基板から光配線が直接出ている。AIデータセンターでは通信の消費電力を抑制するために、光化は必須とされている。NVIDIAとAMDのラックシステムのイーサネットスイッチには、それぞれSpectrum 6とTomahawk 6が用いられている。インテルファウンドリはカスタムCPO+EMIBで対応する方針とのこと。サムスンは当面PICモジュール開発を進め、2029年からシリコンフォトニクスに対応するらしい。

インテルが出たので次の話題に。インテルが、アイルランドの半導体工場を買い戻したようだ。アイルランドのFAB34は、2024年からアポロ・グローバル・マネジメントとインテルの合弁会社となっている。アポロ側が49%を出資しているが、これを今回インテルが買い戻すことになったらしい。FAB34ではINTEL4およびINTEL3のラインがあるとのことで、INTEL4はMeteor Lake、INTEL3はXeon6を製造していると見られる。買戻し後はIntel 18Aに入れ替えていくのではないかとのこと。Intel 18Aでは、Panther LakeとClearwater Forrestがすでに製造されており、この先もNova LakeやDiamond Rapidsが予定されていると見られる。 

製造関連で次の話題。QualcommとMediaTekが4nmプロセスのモバイルチップを大量にキャンセルしたようだ。具体的な型番は、Qualcomm Snapdragon 8 Gen3以下のチップ、MediaTekはDimensity 9400以下のチップのようだ。数量は1,500万~2,000万チップと記事は伝えている。ウェハとしては2~3万枚とみられている。キャンセルの理由はメモリの高騰にあるらしいが、どうやら中国の低価格帯スマートフォンは値上げが避けられないため需要の低迷が見込まれているらしく、需要が無ければチップを作る理由もないので、キャンセルしたということらしい。韓国ではGalaxyのタブレットなど値上げを実施したとのことで、価格に転嫁しても需要があれば、チップの製造には影響は出ないものと思われる。

最後に日本の話題。富士通から国産NPUを開発するとの記事が出ているようだ。半導体プロセスには、ラピダスの1.4nmプロセスを用いると記事は伝えている。1.4nmプロセスは2029年に立ち上がる見通しとのことで、おそらくそのころにはに日本の次期スーパーコンピュータ富岳NEXTのCPUであるMONAKA-Xが開発を完了しているので、富士通製のCPUとNPUでつながると期待されているようだ。NPUはラピダスの1.4nmプロセスだが、MONAKA-Xは、TSMCの1.4nmプロセスだったと思う。NPUに関する業界動向としては、昨年NVIDIAが買収したGroqが、LP30としてVera/Rubinシステムに加わったほか、MetaやMS・AWS・GoogleなどAIデータセンター各社が独自で開発しており、活発化している。CPU+GPU(学習)+NPU(推論)とすることで、低消費電力で創薬や材料開発が可能になるとしたら、素晴らしい取り組みだと思う。

富士通関連でもうひとつ。富士通が、AIにCOBOLのプログラムを解析させて仕様書を起こすサービスを開発したようだ。先月、AnthropicがCOBOLをAIで書き換えることができるとして、IBMの株価が急落したが、別プログラムへの直接な書換えは、メンテナンスの点でちょっと大変なのではと疑問に思っていた。いったん仕様書になると、ドキュメントに従った点検が可能になるので作業としての信頼感が増すのではないかと思う。富士通はIBMと同様にメインフレームの歴史が長く、仕様書とCOBOLの両方の蓄積があるのではないかと思う。AIが学習するデータがあって、このサービスが可能になったのではないかと思うが、どうなのだろうか。

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