2026年4月24日

そうえいば、インテルの株価が急騰して、2000年代のドットコムバブルの株価を越えたらしい。もう2年半前になるが、2024年の11月の初めに、インテルがダウ平均銘柄から外れ、その後は長い低迷期に入っていったと思う。12月にはパット・ゲルジンガーCEOが退任し、どうなることかと思っていたが、翌年5月ごろに就任したリップ・ブー・タンCEOがこの1年をかけて、ようやく回復してきたというところかもしれない。AI需要が推論重視に傾いたことで、CPU需要が伸びたことも大きいと思われる。半導体への投資と回収の期間は、投資家の思惑には合わないとパット・ゲルシンガーが言っていたと思うが、リップブータンCEOがブレずに頑張って耐えていたのは、ゲルシンガー氏の言葉を体現しているようにも思われる。

CPUつながりでAMDの話題。AMDが提供するEXPOが1.2になったという記事が出ている。EXPOとはEXtended Profiles for Overclockingの略で、AMD製CPUに対応するDIMMのタイミング調節などを行う機能のことらしい。今回はMRDIMMへの対応と、メモリ不足への対策として中国メーカーの数社のDIMMに対応したようだ。Zen6向けの準備と思われる。Zen5世代としては、Ryzen系のパソコンのマザーボードにCUDIMMを挿しても、バイパスモードでUDIMM動作になるようだ。EPYCのTurinは、IOチップのメモリコントローラ―がRDIMM対応で、MRDIMMは、まだ使えなかったと思う。これらはZen6世代で使えるようになるようだ。

個人的にAMDのCPUでパソコンを組んだことは無いのだが、何年か前に間違えてEXPO対応のメモリを買ったことがある。64GBを2組買った。つまり32GB x4枚。同規格のDIMMの中で、なぜか他より少し安かった。返品しようかと思ったが、EXPOってなんだろうと調べてみたら、メモリ設定プロファイルだというので、基本性能は出るのだろうと理解して、そのままインテルCPUのマザーボードに使うことにした。現在も奥さんのパソコンで無事に使えている。(メモリが潤沢で快適なようだ)

次に違う話題でNVIDIA関連。NVIDIAがOpenAIのChatGPT 5.5を搭載したCodexを1万人を超える全従業員に展開したようだ。10万基のNVIDIA GB200の上で動作しており、チャットボットは従業員と会話をし、エージェントは業務をしていると記事は伝えている。エージェントはセキュアな仮想環境内にいて、企業データにアクセスはできるが、削除や変更はできないようになっているとのこと。開発現場だけではなく、法務・財務・営業といったエンジニアリング以外の部門でも使っていると記事は伝えている。

NVIDIA関連でもうひとつ。NVIDIA製GPUインスタンスへのアクセスが困難になっているという記事が出ている。大手のCloud Service Provider(CSP)では、データセンター内のNVIDIA製GPUインスタンスを、自社内や大口顧客に優先的に提供している状況らしく、スタートアップなどの小口の顧客は予約待ちになっているようだ。大規模なトレーニングなどを実施する場合は、おそらく同一クラスタ内のベアメタルが確保されるため、小口の顧客は締め出されているのではないかと思われる。

データセンターつながりでMetaの話題。MetaがAWSのGraviton5を大量に購入したようだ。3年間から5年間にわたる数十億ドルの契約と見られている。コアの数では数千万コアに相当するとのことで、Graviton5が192コアなので数十万チップに相当すると見られる。ただし、チップとして購入したのか、AWS上でのインスタンスを買い占めたのかはよくわからなかった。3月中旬のGTCではNVIDIA Vera CPUラックの納入先として、また3月末ごろ発表のArm AGI CPUの発表では主要な納入先候補として、Metaの名前が挙がっていたと思う。おそらく、NVIDIA VeraもArm AGI CPUも製造はこれからであると考えると、目先のCPUはGraviton5というだろうか。

納入先としては、Metaが計画しているデータセンター(Project Prometheus)が、そろそろ稼働するタイミングではないかと思う。1GW級のデータセンターと言われている。Prometheusで稼働するMTIAにリクエストを送るのがAWS Grviton5ということになるのかもしれない。そしてその後のProject Hyperionは5GW級で、そこではVeraとArm AGI CPUと次期MTIAが稼働するのかもしれない。Metaに限らないが、AIデータセンター各社のプロジェクトの規模もさることながら、すごい資本力だと思わざるを得ない。 

最後にLinuxの話題。Linuxのカーネルから、古いネットワークドライバが削除されているようだ。ISDNやPCMCIA(いわゆるPCカード規格)のネットワークドライバが対象になっているとのこと。AIがコーディングする中で、古いドライバに関連するエラーが増えてきたらしく、削除が進んでいるようだ。先日のAnthropic Claude Mythosのレポートでは、20年以上前のドライバ関連で、知られていなかった脆弱性が見つかったとの記事もあったかと思う。PCカードという名称は久しぶりに聞いた気がする。Type-Iのメモリカードやモデムカードを使っていた。

こういった、古い機器のドライバが誰にも気づかれなかった脆弱性を持っている、ということは容易に考えられる。こうなると、昔のものを含むこと自体が、リスクとなり始めているのかもしれない。いっそのこと、AIが自動的に穴をふさいだドライバを書いてくれると良いのだが。新しい危機に対応するドライバは、そうなっていくのかもしれない。

2026年4月23日

ということで、TSMCテクノロジシンポジウムについて、記事が多く出てきているようだ。今回の北米シンポジウムでは、先端ロジックプロセスのロードマップの更新で、A13プロセスとA12プロセスが発表された。おそらくこれが目玉だと思われる。2029年に同年内に提供されるらしい。先端ノードが2段階、同年内に提供というのは、初めてのような気がする。両方ともA14プロセスの改良版となっている。

A12はSuper Power Rail(SPR)と呼ぶTSMCの背面給電に対応したプロセスとのこと。SPRはA16とA12ということになるようだ。単純な想像だが、A14を改良して少しシュリンクしてA13としたところに、SPRを適用するとトランジスタ側にある電源配線が背面に回るので、もう少しシュリンクできるような気がする。そうするとA12と名乗ることが出来るのかもしれない。見方を変えると、A14の改良版で、SPR無しがA13、SPR有りがA12ということかと思ったが、どうだろうか。 

一方、A16プロセスが2027年にシフトようだ。これも少しサプライズかもしれない。NVIDIAのFeynmanに適用されると言われていたような気がするが、Feynmanが2028年と言われているので、ロードマップ上は間に合うと見られる。また、新規開発のA14プロセスは2028年で 変わらないが、N2/N2Pの改良版N2Uが、2028年にA14と同時に登場となっている。去年はN3系の改良版があったが、N2が昨年末に量産開始となったので、今年はN3の改良版が出ていないようだ。もうひとつ意外だったのは、ASMLのHigh-NA EUVはまだ導入しないという点で、どうもコスト的に高すぎて導入を見送ったらしい。現行のEUVで、A12プロセスまで進められると判断したようだ。(おかげでASMLの株価は下がったらしいが)

また、最近重要性を増しているパッケージングについても、CoWoSの大型化についてロードマップを更新したようだ。CoWoS-Lは現在5.5レチクルで、2027年に9.5レチクル、2028年に14レチクルを目指すとのこと。14レチクルになると、10チップ+20HBMの規模らしい。2029年は14レチクルを越えるCoWoS-Lと並行して、40レチクルのSoW-X(System-on-Wafer X)が実用段階に入るとしている。3D-ICも現在の9umピッチから6umピッチへ移行し、2029年には4.5umピッチでA14-to-A14スタッキングを可能にするらしい。チップレット時代になって、パッケージングはシリコンチップが露光エリアのサイズ(レチクル)の限界を超えて性能を拡張していくための重要な手段となった。コストの面からも、適材適所な半導体プロセスで製造されたチップを、ひとつのパッケージに封入していくことになる。

工場の増設については、アリゾナのFab21に4つめの工場(P4)を建設を始めたと公表したようだ。全部で6つ作ることになっていたと思う。P2が3nmで2027年後半に製造開始となっている。P3がパッケージング工場と見られる。今回公表されたP4は2nmらしい。2nmは台湾でもFab20で製造中だが、Fab22(高雄)の建設が進んでいる。台湾とアリゾナで同時に建設をすすめているということになる。また、2nmプロセスは先端ロジックのN2Uに加えて、自動運転向けN2Aが発表されたようだ。

他にも特殊用途として、コンシューマ向け高電圧FinFETのN16HVプロセスを発表したとのこと。ディスプレイドライバ用途としており、スマートグラスなどへの応用を見込んでいると思われる。

次のTSMCテクノロジシンポジウムは、本拠地台湾で開催の予定。 

半導体続きでインテルの話題。インテルファウンドリのIntel 14Aプロセスの最初の顧客は、どうやらイーロン・マスクのSpace Xらしい。テラファブの代替製造と見られる。ちなみに、インテルファウンドリからの発表は、まだないようだ。テラファブ構想は、テキサスに2つの2nmプロセスの半導体工場を建設するというものだが、実現性はよくわからない。台湾で半導体プロセスに関する人材募集をしているという情報もあり、いつになったらチップができるのか、非常に不透明な状況と言える。それを踏まえると、並行してインテルファウンドリを採用するのは理に適っていると思う。しかし、テラファブが目指す生産量はインテルでは賄いきれないことも確かだと思う。加えて、14Aプロセスを製造するオハイオ工場は、完成が2030年から2031年にかけてと見られている。これを加速するための取組みが始まるということだろうか。

少し変わってIBMの話題。IBMの第1四半期の決算発表が出ているようだ。業績は悪くないが、決算発表後に株価が落ちたようだ。(IBMだけでなくSalesForceも下落したので、まだCaludeショックやSaaS終末論が影を落としているのかもしれない) IBM社としては、このAIの波は事業推進の追い風ととらえている。当然ながら、決してAIにやられて滅んでいく会社とは考えていないようだ。z17のメインフレームなどのハードウェア事業だけでなく、RedHat事業もあるし、Watson-x AI事業やコンサルティング事業もある。今回、IBMとGoogle Cloudの連携について、IBMからプレスリリースが出ており、Google Cloud Marketplace経由でIBMのクラウドサービスが提供されるようだ。

私個人がクラウドコンピューティングという言葉に初めて触れたのは、2011年ごろにIBMが発刊していたJournal of Research and DevelopmentというIBMの技術情報誌だったような気がする。残念ながら4・5年前に休刊してしまったが、IBMのテクノロジーについて解説していた情報誌で、よく読んでいた。(今読もうと思うと、IEEE Xploreで別料金を取られたと思う)

Googleつながりで次の話題。GoogleのTPUv8ax/xが、TPU8t/iに整理されたようだ。これまで学習用TPUv8x(ZebraFish)と、推論用TPUv8x(SunFish)としていたが、それぞれ学習用をTPU 8t、推論用をTPU 8iとしたとのこと。名称が変わっただけで半導体プロセスや担当するASICベンダーなどが変わったわけではないようだ。ax/xだとどっちが学習でどっちが推論だっけと思うことが多かったが、ひょっとしたら関係者の間でもそうだったのだろうか。

Google関連でもう一つ。Google Cloud Serviceに、NVIDIA Vera Rubinのベアメタルサーバーが入るようだ。A5Xインスタンスとして手配すると、仮想サーバーではなくサーバー装置(ベアメタル)として利用できるらしい。単一サイトで8万基のRubin GPUが稼働でき、マルチサイトで最大96万基までとのことなので、12サイトあるようだ。

データセンターつながりで次の話題。イギリスの通信大手BT社が、欧州データセンター大手Nscale社およびNVIDIAと提携して、ソブリンAIを構築するとの記事が出ている。また、BT社とRackspace Technologyの英国内データセンターでソブリンクラウド構築し、英国の国内でホストの運用を行うとのこと。自国内にデータセンター設備を持ち、データを国内で管理していくことは、データ主権の基本的な要件となりつつあると思う。

データセンターでもう一つ。マイクロソフトのAIデータセンターが予定より早く稼働したようだ。ウィスコンシン州のフェアウォーターにあり、NVIDIA GB200で構築した2GWのAIトレーニング用データセンターとのこと。数十万基のBlackwellと、地球4周分を越えるファイバーケーブルで構成されているらしい。マイクロソフトによると、全米で今後70ヶ所を越える同様の施設を建設する予定とのこと。

2026年4月22日

そういえば、今年のTSMCのテクノロジシンポジウムが始まったようだ。正式名称はTSMC 2026 North America Technology Symposiumとなっている。開催は1日のみだが、North Americaの部分が、ヨーロッパや中国などを巡回するときに変わる。日本に来るのは最後の方で、今年は7月の初めのようだ。例年横浜で開催されている。どこの地域でも内容的に大きな差があるわけではないと思うので、4月の北米シンポジウムのプレス記事やニュース記事を読んでおくと、予備知識としてはだいたい手に入ると思われる。記事が増えたらまとめてみたい。

ということで次の話題。Appleが、macOS27でIntel製CPUを使ったMacのサポートを打ち切るという記事が出ている。macOS27は9月にリリースと見られる。AppleのM1が登場する2020年以前までは、Intel製のCPUが使われていたが、MシリーズのいわゆるAppleシリコンが登場して、7年でOSのサポートが終了するということになる。この間、AppleシリコンはM5まで進んできており、次期のM6(TSMC N3Pプロセス)については、今年出るかと見られていたが、2027年に延期される可能性があると記事は伝えている。DRAMの高騰やフラッシュメモリの不足が影響しているようだ。

話は変わってNVIDIAの出資関連。VAST Date社の資金調達ラウンドにNvidiaが参加し、出資するようだ。NVIDIAの出資額はわからないが、VAST社の調達額は10億ドルらしい。VAST社は、大量のデータ管理のためのソフトウェアインフラを開発しているとのこと。主要顧客はCoreWeave、Mistral、US Air Force、Cursorなど。AIアプリケーションに重点を置いており、数百万GPUが稼働するプロジェクトをサポートしている実績があると、記事は伝えている。CoreWeaveはNVIDIAが出資しているデータセンターだったと思う。CursorはAnysphere社が提供しているAIコードエディタで、NVIDIAも導入していたと思う。

最後に量子コンピュータの話題。IBMがルーマニアに量子コンピュータを設置するとの記事が出ているようだ。2026年10月にFreeYa Mind Campus内に、IBM Quantum System Twoが設置される予定とのこと。FreeYa Mind Campusは、中央・東ヨーロッパ初の民間量子インフラセンターらしい。欧州委員会は2025年にポスト量子化暗号(PQC: Post Quantum Cryptography)に関するロードマップを作成しており、加盟各国は対応を進めることになっている。

2026年4月21日

そうえいば、AMDがCo-Packaged Optics (CPO)関連でGlobalFoundriesと協業するという記事が出ているようだ。AMDの次世代AIアクセラレータMI-500シリーズに向けて、光集積回路(PIC)のチップ製造をGlobalFoundriesに委託するらしい。組立はASEが行うとのこと。AIデータセンター内の接続では、低消費電力化のために銅配線から光配線への移行は不可避と見られている。MI-500は2027年に登場の予定で、CPUはEPYC Verano (Zen6)との組み合わせと思われる。今年の後半にはHeilosラックシステムが投入されると思われるが、AIアクセラレータはMI-400、CPUはEPYC Venice (Zen6)、NICはAMD Pensandoで、光スイッチはBroadcomのTomahawk-6が採用されていたと思う。次世代となるMI-500世代もPensandoを使うようだが、Tomahawkを今回のGF製PICと置き換えるのかもしれないが、どうだろうか。

GlobalFoundries(略してGF)は、もともとAMDの半導体製造部門だったと思う。2009年に独立して、その後、2015年ごろにIBMの半導体部門が合体したり、7nmプロセス開発から降りてIBMともめたりしていたような気がする。AMDとはFinFETプロセスのチップを提供するなどでCPU製造を支えていたが、7nm以降には進まないことになったので、AMDはTSMCに乗り換えることになったと記憶している。チップレット時代の幕開けを告げたAMD EPYCの初代Naples (Zen、このときはCCDのみだった)と、2代目のRome (Zen2)のIOチップレットはGF製14nmプロセスで、Milan (Zen3)のIOチップレットがGF製12nmプロセスだったと思う。GenoaのZen4以降はIOチップレットもTSMC製になった。今回はEPYC以外のPICで、再びGFと提携することになったということだろう。

もうひとつAMD関連。AMDのRyzenシリーズで、3D V-Cache構造のCCDを2つ搭載したRyzen 9 9950X3D2のベンチマーク記事が出ているようだ。Zen5の16コア全部でL3キャッシュが192MBという贅沢なつくりとなっている。全コアでコア当りのL3キャッシュ容量が12MB(論理コア当り6MB)となる。その前のRyzen 9 9950X3Dでは、3D V-Cache構造のCCDが1つだった。つまり、標準のL3キャッシュ容量32MBのCCDが8コアと、3D V-Cache構造で92MBのCCDが8コアで、合計128MBだった。これはキャッシュが潤沢に使えるCCDと、そうでないCCDの組合せということになる。このX3D2とX3Dの比較結果が出ているが、X3D2の方が価格が200ドルほど高額にもかかわらず、従来のベンチマークでは性能差がほとんどない結果となっている。ゲーミングユーザーにとってはすこし残念な結果となっているようだ。

ただし、AMDとしてはX3D2はゲーム用途のCPUとは言っておらず、プロフェッショナル向けのレイテンシ感度が高いワークロード用と言っているようだ。(箱にそう書いてある) ベンチマークの比較では、ほとんど差が無かったとなっているが、重たいワークロードでもコア当り12MBのキャッシュをもつCCD1個で用が足りているとしたら、X3DがX3D2になる効果はほとんど無いのではないかと思う。ベンチマークソフトはデータがキャッシュに入ってしまえば、あとは動作周波数と、演算器~キャッシュ間の帯域と、クロック当り命令実行数(IPC)などで決まってしまうからだ。また、CCD間の通信が発生するとIOチップを経由するのでレイテンシが大きくなるが、それはX3D2でも改善はしない。X3Dに比べて、X3D2の大きな効果が見られたベンチマークとしては、ビデオエンコーディングや、OpenFOAM(流体解析)、Poisson(2次元方程式)などだったようだ。エンコーディングはキャッシュが大きい方が有利だし、OpenFOAMやPoissonはHPC用途で見られるベンチマークだと思う。他にも、AIでRAGを行う場合に効果があると伝えている記事があるようだ。

また、Ryzen 9 9950X3D2のサンプル提供については、AMDが数を絞っているという記事もあった。先にも書いたがゲーム用途ではなく、高額でプロフェッショナル用途ということで、AMDとしては一般向けとは少し違うという姿勢があるのかもしれない。とはいえ、ひととおりゲームやそのほかのベンチマークで高い割には違いが無いという評価も、重要な意味があると思う。

ちなみに、Zen5で採用されたX3DとX3D2は第2世代3D V-Cacheと言っており、Zen3・Zen4世代での第1世代の3D V-Cacheとは、コアチップとメモリチップの上下が入れ替わっている。つまり今までコアチップの上にメモリチップを搭載していたが、第2世代は下にメモリチップがあって、その上にコアチップを搭載している。この方が、コアチップの背面に放熱用のヒートスプレッダーが直接当たるので、冷却で有利になるらしい。冷却が有利だと動作周波数が挙げられるし、周波数が上がるということは性能が上がるということだ。冷却能力が性能に影響するのは、ここ10年くらいの常識となっている。

さて、3D V-Caheの第1世代と第2世代の違いは、言葉で書くとメモリとコアの上下関係が入れ替わっただけと思うかもしれないが、実装構造上では、わりと複雑な変更になると思う。第1世代では、コアチップの背面にTSV(シリコン貫通ビア)を開けて、メモリチップを実装していたと思う。CCDは通常のフリップチップ実装(C4バンプ)で、表面(端子面)が下を向いている。背面のシリコンにTSVが途中まで埋め込んであって、背面を削ってシリコン層を薄くすると端子が出てくる。メモリチップはそのTSVの端子に合わせて表面に端子があり、CCDの背中に載せることで、L3キャッシュメモリを増設している。 メモリの表面(Face)をCCDの背面(Back)に接合するので、Face-to-Back接続と呼ばれている。メモリチップが背中に乗るのでキャッシュ容量は増えるが、コアの発熱は抜けにくくなるというトレードオフがあった。

第2世代では、メモリチップの背面にTSVを開けて端子を形成し、パッケージ基板に接続するための端子(C4バンプ)を出している。こうすると、メモリチップの表面(Face)とCCDの表面(Face)をダイレクトボンディングで接続することが出来る。これは表面と表面なので、Face-to-Face接続と呼ばれている。メモリチップ背面のC4バンプを基板に接続すると、CCDが上になって、背面に冷却用のヒートスプレッダーが直接冷却することができる。メモリチップの背面のC4バンプは、メモリチップのためだけではなく、CCDへの電源供給やIOチップとの通信用、制御系や試験系などの端子を出す必要がある。ちなみにC4バンプというのは鉛と錫の合金でできた、直径100umくらいの半田ボールのことで、C4というのはControlled Collapse Chip Connectionの頭文字から来ている。

ここでちょっと疑問が生じる。X3D2は2つのCCDが3D V-Cacheだが、X3Dは片方が普通のCCDというこで、メモリチップが無いCCDの端子面はC4バンプになっている必要がある。つまり、メモリチップに張合わせるCCDと、基板に直接載せるCCDの2つがあることになる。おそらくメモリチップに張合わせるダイレクトボンディング仕様のCCDに対して、C4バンプパッドを形成する追加工程があると思われる。ただし、ダイレクトボンディングは9umとか6um、次世代は4.5umくらいの端子ピッチであるのに対して、C4バンプパッドは昔から150umピッチくらいだったと思う。15倍から30倍くらいスケールが違うので、単純にC4バンプパッドを置くわけにはいかないと思われる。

しかしよく考えると、ダイレクトボンディングはメモリを増設するための接続端子なので、電源に加えてデータやアドレスや制御線等の端子がたくさんあるはずだ。CCDからC4バンプに接続するのは、電源供給とIOチップとの通信用、制御系や試験系で、メモリチップの背面に出す端子と同じ本数(もちろん同じ並び)でよい。ということは、ダイレクトボンディング用の端子はいったん絶縁層で埋めてしまい、C4バンプに出す端子だけ、窓を開けて引き出すにようになっていると思われる。引出し配線が1層ですむのか2層必要なのかわからないが、いわゆる再配線層(RDL)を形成していると思われる。第1世代ではCCDの背面にTSVを埋め込んでおいて削って端子を出していたが、第2世代では絶縁層をかぶせて再配線層を形成していると思うが、どうだろうか。

もちろん、第1世代も第2世代も、半導体プロセスの中でウェハ単位での加工になると思われる。チップとして切り分けた後にできる追加工程とは考えられないので、事前に3D V-Cache仕様のCCDをどれだけ製造するのか、普通のCCDと分けてオーダーしておく必要があるだろう。半導体プロセスの話になるとつい長くなる。

CPUつながりで次の話題。Qualcommのクリスチアーノ・アモンCEOが韓国を訪問するらしい。サムスンとSKハイニクスへ行く予定とのこと。Snapdragon 8 Elite Gen2をサムスンの2nmプロセス(SF2)で製造するのではないかとの記事は伝えている。わかりにくいがSnapdragon 8 Elite Gen2 (EliteのGen2)とは、Snapdragon 8 Elite Gen5 (Snapdragon 8のGen5)のことで、すでにTSMCの3nmプロセスで製造している。今回は派製品をSF2で製造するのではないかとのこと。TSMC3nmはFinFETで、サムスン2nmはGAAトランジスタだったと思うが、同じ設計でトランジスタ型をまたいだ実例となるのであれば、少し興味深いと思う。SKハイニクスではLPDDR5の調達について、交渉すると見られている。

最後にTSMCの話題。TSMC高雄のFab22は5つの2nmプロセスラインを構築する予定らしいが、年間の総電力量が112億kWhと見られているようだ。単位の桁数が大きくて良くわからないが、年間のWhなので、たとえば1Wだと1年間の電力量は、1Wx365日×24hで8.76kWhになる。つまり、年間の総電力量112億kWhを8.76kWhで割れば、Wに換算出来る。112億k÷8.76kは12.8億Wで、1,280,000,000Wと表記すると1.28GWである。原発1基が1GWと言われており、高雄のFab22の年間電力を賄うためには、原発1.3基分を常時稼働する必要があるようだ。

上の方で、プロセッサの性能は冷却能力が決める時代に入っていると書いたが、システムの性能は電力供給能力が決める時代に入っていると思う。ファンやポンプは駆動系だが、半導体そのものは駆動系を持たない。つまり半導体に供給した電力はそのまま発熱となる。たとえばプロセッサに1GWを供給するということは、1GWを冷却するということだ。その供給と冷却の枠の中で、どれだけの性能を獲得できるかが、アーキテクトと回路設計、ソフト開発やシステム開発の腕の見せ所だと思う。

2026年4月20日

そういえば、AWSがAnthropicに250億ドルの追加投資をするようだ。当面50億ドルを投資し、マイルストーンの達成に応じて、さらに最大200億ドルを追加するとのこと。AWSはすでに80億ドルをAnthropicに投資している経緯がある。逆にAnthropicは、AWSに今後10年間で1000億ドルの投資を行うらしい。AWSのTrainiumとGravitonを確保する狙いがあるようだ。今年中に、Trainium2/3で構成する1GWと、将来的に5GWまで確保しているとのこと。現在開発中の、Trainium4が含まれていると思われる。AWSの顧客は、すでにAmazon Bedrock上でAnthropic Claudeを使用できるが、AnthropicはClaudeに対する需要が急増したため、インフラを急いで増強する必要に迫られていると見られる。

AIつながりで次の話題。PositronがOracleと提携したようだ。Positron AIは推論チップを開発しているスタートアップで、2026年後半にAsimov(TSMC N3Pプロセス)というカスタムASICチップをリリースする予定とのこと。現在はAtlasというFPGA+HBMの推論チップを展開しており、Cloudflareなどで実績があるらしい。AsimovはLPDDRメモリを採用しているが、チップ当たり2TBを扱うことが出来るとしている。AsimovがOracle Cloud Infrastructureで実績を積むことが出来れば、空冷で動作するので電力密度の低いCSP向けに展開していくことを考えているようだ。

AI関連でもう一つ。IBMのアーヴィンド・クリシュナCEOが、AIと量子コンピュータの導入についてコメントを出したという記事が出ている。2月のAnthropicショック(COBOL書換えのClaude Codeによる自動化)によってIBMの株価は低下したが、IBM自身がAI推進に力を入れていることを強調しており、同時に量子コンピュータの開発と応用に力を入れていると記事は伝えている。コメントの中では、テクノロジーはこれまで企業活動を支援するものであったが、これからは企業活動そのものを左右する存在へと変わっていることに、まだ多くの企業が対応できていないのではないか、と述べている。

産業革命以来、科学技術(テクノロジー)が産業の発達を促してきたが、テクノロジーそのものが企業活動として成り立ってきたかというと、そうでもない気がする。たしかに鉄鋼や石油・化学などは科学技術そのものだったのだろうと思うが、それらが発達を促したのは、自動車や船舶・航空などの交通機関と、紡績や土木建設などの機械化であった。そのうえに都市整備や流通網、商社などの産業があり、さらにその上に市場や小売りなどのサービスを行う会社がある、という具合ではなかっただろうか。つまり、流通や加工などの産業よりもうえの層は、産業革命以前にもあった構造だが、テクノロジーが機械化を推進し、人間が苦手な移動や建設などで以前ほど苦労をしなくてよくなって、社会が変わったという構図だったのではないかと思う。この、基礎となっているテクノロジーと、一番上にある社会全般の企業とは、少し距離があったと思う。

一方で、家電とともに情報・通信産業が発達し、1960年代から半導体産業が発達し始める。テクノロジーとしては、電子・物性を基盤としていると思う。機械化が進んだ社会の中で、電信電話・コンピュータ・インターネット・通信衛星などが発達した。2000年を越えてスマホが普及すると、半導体が地球上に蔓延して、いろんな産業の基礎に入り込んだと言ってよいのではないかと思う。短絡的かもしれないが、半導体上に形成した電子計算機とソフトウェアで人間の応用力が解放され、情報通信社会が発達した。人間の苦手な計算で苦労しなくてよくなり、都市部の生活が一変してしまったと思う。そして、その情報通信社会の中心企業がIBMだった、ということかと思う。もちろんこれが、現在のAIにつながっている。

半導体テクノロジーの特徴は小型・高速であることとだと思う。半導体を基盤とすることで、科学技術の変化が産業を変え、産業の変化がサービスを行う企業を変えるまでのタイムラグがどんどん短くなっていると思う。テクノロジーへの理解は、もはや「あった方が良い」ではなく「無いと困る」というものなのかもしれない。ここでいうテクノロジーへの理解とは、テクノロジーにどれだけコストを割くかということだ。企業の経営層がテクノロジーにどれだけコストをかけるかで、どれだけ素早く変われるか、ということが問われているのではないだろうか。ダーウィンの進化論は、強者が生き残るのではなく、変化に適応したものが生き残るということを示していたと思う。

IBMのCEOがテクノロジーと企業活動の距離を語るということは、以上のような経緯を踏まえたほうが、真の意味がわかるような気がした。

CEOつながりで次の話題。AppleのCEOが交代するようだ。現在のティム・クックCEOは、9月1に15年の任期を終えて退任し、新しいCEOとしてジョン・ターナス氏が就任するとのこと。ターナス氏は現在、ハードウェア担当上級副社長を務めているとのこと。クックCEOの在任中に世の中に出た主なデバイスは、Apple Watch、Air Pods、Vision Proということになるようだ。しかし、なによりもiPhone事業が拡大の一途をたどっていった、堅実な手腕が評価されるべきかもしれない。次期CEOは、遅れていると言われるAI分野への進出が、クリヤするべき課題になると見られる。

上の話につながるが、次の変化は半導体テクノロジーを基盤としたAI産業の発達ということになるだろう。AIはまだ企業での活用を模索している段階で、個人の嗜好に入り込むのはもう少し先のような気がしている。現在の、エージェンティックAIがビジネスをサポートするような規模の話は産業界の話だと思う。GPUやNPU、CPUが大量に必要だと言っているのはそのレイヤの話で、ただいまデータセンターの準備中である。いま個人でAIを使って文章や絵や動画を生成している人は、プロかハイアマチュアが中心ではないかと思う。プロと言っても昔のような大手のメディアではなく、YouTubeをはじめとしたSNSで稼げる世の中になっているので、誰でもプロになれる世の中になっている。産業界も個人も通して見ると、AIはお金を稼ぐ前提で活用されているような気がしている。(個人で楽しんでいるのは他からはわからないものではあるが)

AIがすべてを加速していくのであれば、社会を変えていくのも早いような気がする。何気ない個人の日常でAIが役に立つ場面は、写真の背景を変える以外にも、もっとあるだろう。AI産業が人間の苦手なものを開放してくれることで、次の社会の変化が訪れるはずだ。計画を立てたり、絵をかいて説明したり、関係者と調整したりすることかもしれない。おそらく、変化の準備は完了していると思われる。AppleやAndroidに搭載されたAIが、AIに支えられた生活の変化を一気に推し進めるときに、その次世代のデバイスが飛躍的に普及するのではないだろうか。スマートフォンに限った話でもないと思し、ひょっとすると最近話題になっているスマートグラスかもしれない。おそらくAppleやAndroidは、タイミングを計っているのではないだろうか。

共通な構造としては、テクノロジーの発達がインフラの変化を推進することで、その上に乗る産業基盤を変質させ、人間が苦手としているものを開放し、サービス企業を変えていく、ということかと思う。推進してきた変化は機械化、情報化、AI化の流れとなっている。テクノロジー・インフラ・変化原理・苦手なもの・サービス、の5つの層(ケーキとは言わないが)で分けてみると、判りやすいのかもしれない。

2026年4月19日

そういえば、インテルのNova Lake-Sに導入されるbLLC(big Last Level Cache)の容量について、ラインナップのリーク情報が出ているようだ。Core Ultraシリーズの400DX/Dの型番を中心に構成すると見られている。400DXシリーズが52コア/288MB、44コア/264MBとなっている。400Dシリーズが28コア/144MB、24コア/132MBとなっており、400シリーズでひとつだけ22コア/108MBがあるようだ。Nova Lake-Sは最大2つのコンピューティングダイを持ち、コンピューティングダイには、Pコア8個とEコア16個が搭載されている。おそらくLPEコア4個はコンピューティングダイには載っていない。仮にLPEコア数を除いたP+Eコアの数でbLLCを割ると、コア当たり6MBまたは6.6MBという容量になる。コンピューティングダイはTSMC N2Pで製造されるようだ。AMDの3D V-Cacheとどう渡り合うか、推移を見守りたい。

インテル関連でもうひとつ。インテルファウンドリが大型の外部顧客を獲得するのではないかとの記事が出ている。リーク記事のようだが、Intel 14Aプロセスに対する期待が高まっているようだ。現在はすでにPDKのv0.5が出ており、間近にv1.0が提供されると見られている。PDKとはProcess Design Kitのことで、トランジスタ性能や、多層配線の仕様と抵抗や容量の値など、回路設計に必要なパラメータやシミュレーションモデルのキットと思われる。半導体プロセスの開発と並行して顧客に提供することで、顧客側では回路設計をすすめることが出来る。半導体ベンダーは、プロセス開発の進捗に応じてPDKをバージョンアップしていく。顧客側ではPDK v1.0で設計したチップの性能を製造前に把握することが出来るので、そこで最終的な採用を判断すると思われる。

大手の外部顧客について、噂レベルではあるがNVIDIA、Google、Apple、AMDが候補に挙がっているようだと記事は伝えている。NVIDIAのFeynmanを委託するウワサは以前からあったと思う。Googleはデータセンター向けのASICチップを委託する話が合ったと思う。Appleは設計は委託しないと思うがファウンドリなら可能性はあるかもしれない。AMDはエイプリルフールでネタになっていたような気がする。他にも、テラファブ関連の話もあると思う。実態はよくわからないが、A14プロセスだけでなくEMIBへの期待も高まっており、インテルファウンドリの未来に明るい兆しが出てきたのかもしれない。

Googleが出てきたのでGoogleの話題。GoogleがTPUに連携する2つのチップを開発するために、Marvellと提携したようだ。ひとつはメモリ処理ユニットで、もう一つはAI処理の実行ユニットらしい。詳細はわからないが、学習と推論という区分だとTPUv8ax/xになるし、TPUはBroadcomとMediaTekに委託している。上でも触れたが、インテルと協業する別のチップもあったと思う。したがって、それらとは異なる用途のチップと思われる。メモリコントローラとCPUのような役割かもしれない。

次はAMDの話題を。Zen7のリーク情報が、一昨日くらいに出ていたようだ。Zen6コアがTSMC 2nmプロセスに対して、Zen7コアはTSMC A14プロセスを用いると見られる。Zen7世代のEPYCは、Florenceと呼ばれるとのこと。Zen7世代ではコアが載るCCDチップレットがいくつかあるようで、Silverton(16コア)とSilverking(8コア)に加えて、EPYC向けに36コアのSteamboatがあるらしい。Steamboatは、A14プロセスを用いたコアの上に、N4Pプロセスを用いたメモリチップレットを3D積層した構造になると言われている。メモリチップレットはひとつ252MBでコア当たりでは7MBの容量となる。FlorenceにはSteamboatを8チップ使うので、288物理コア、576論理コア、キャッシュ容量では252MBが8チップで2,016MB(ほぼ2GiB)となるようだ。上で触れたインテルのNova Lake-SはZen6の対抗だが、コア当りのキャッシュ容量は、FlorenceではNova Lake-Sよりも多くなると見られる。なお、Steamboat以外のCCDは、RyzenやAPUなどのコンシューマ向けと思われる。

また、Florenceには、従来構成のCCDとIOチップ以外に、メモリコントローラが載るようだ。IOチップにはDwarka、メモリコントローラにはMathuraという名前がついており、両方ともTSMC N3Cプロセスで製造されると記事は伝えている。整理するとEPYC Florenceは、CCDはキャッシュメモリ(N4P)の上にコア(A14)をスタックしたSteamboatを8個使用し、2つのIOチップ(N3C)と2つのメモリコントローラ(N3C)で構成される。3つの半導体プロセスで4つのチップレットを用いるようだ。ソケットはSP7/SP8と見られている。メモリコントローラを分けた狙いは、単純にサイズと歩留り(コスト)の問題もあると思うが、DDR規格の変化に柔軟に追従する狙いもあるのではないかと思う。

面白いことに、Steamboat自身はZen6シリーズのIOダイに対応できる後方互換性を保っていると、記事は伝えている。Florenceの登場は2028年中ごろと見られているが、Zen7 IOチップDwarkaとメモリコントローラMathuraが3nmプロセスのため、TSMCの製造状況次第では入手困難になったり、思った以上に値上げになることが考えられる。また、DDR5メモリの状況がひっ迫したままで、今と同じDDR5メモリを使いまわすという選択を迫られる場合も考えられる。そのようなときにZen6 IODを使った製品にすることを想定しているのかもしれない。

ところで、CCDのコードネームで、Stemboatだけは他のSilvertonとSilverkingとは全然違う系統という感じがする。異なるチームが設計したものだろうか。Steamboatは日本語で蒸気船という意味だが、蒸気船というと江戸時代末期の1850年代に、浦賀沖に来航したペリー提督の黒船が思い起こされる。Zen7/Florenceは黒船なのだろうか。

2026年4月18日

ところで、あいかわらずコンシューマ向けのCPU・メモリ事情が厳しいという記事が出ているようだ。潤沢に供給されている高額なメモリと、価格的には手が届くが物が手に入らないCPUという状況になっていると見られる。CPUの供給が滞っているのは、サーバー向けCPUを優先していいるためと思われる。結果として出来上がるのは、少数の高価なPCということになるようだ。実際のところ、インテル製CPUで人気のRaptor Lakeは納期が現実的ではなく、Wildcat LakeのPCは少数しか納入されず、Panther LakeのPCはかなり高額な設定となっている、と記事は伝えている。この状況は、しばらく続くと見られる。

次はGPUの話題。NVIDIAのジェンスン・フアンが、中国のAIの取組みに警戒しつつも、米国の輸出規制を懸念しているという記事が出ている。米国の輸出規制と、中国側の国内保護の動きが続いているのは周知のとおりである。その中国の国内では、DeepSeekがNVIDIAのCUDAから、HuaweiのCANN(Computing Architecture for Neural Networking)上へDeepSeekを移植しているらしい。現行のHuawei製AIチップであるAscend 910Cは、まだH100の60%程度の性能だが、ジェンスン・フアンは、中国国内にはAIのエキスパートが多数いることと、エネルギーが豊富であることから、チップの性能差は問題にはならないだろうと述べたと記事は伝えている。DeepSeekは、今月にHuaweiのAscend 950PRを搭載したv4プラットフォームを発表すると見られており、米国の禁輸措置が中国の技術力の構造を促していると、ジェンスン・フアンは警告を発しているようだ。

GPUつながりでAMDの話題。AMDが、AnthropicからMI450 GPUを大量に受注するのではないかとの記事が出ている。噂ベースのようなので規模などは不明だが、MI450はNVIDIA Rubin対抗である。AIデータセンター向けGPUとして、Heliosラックシステムが1月のCESでお披露目された。一方Anthropicは、NVIDIA GPUとAWS Trainium、Google TPUなど、マルチプラットフォーム戦略をとっており、AMD GPUを加えることでリスク分散を進めるメリットがあると見られているようだ。

続いてNPUの話題。テスラのAI6/6.5のファブについて記事が出ている。AI6もAI5に引き続きサムスンとTSMCの両方で製造される予定だが、AI6はサムスンもTSMCも2nmプロセスとなるようだ。工場はどちらも米国内で、サムスンはテイラー工場(テキサス州)、TSMCはアリゾナ州のFAB21になると思われる。サムスンテーラー工場は2027年稼働予定らしいので、おそらくAI6が製造可能と見られる。一方、TSMC FAB21の2nmは、おそらく3年くらい先かと思うので、AI6の設計完了から製造開始までだいぶ時間が空くと思われる。TSMCでの製造はAI6.5となっており、テスラとしてはその間にエンハンスを行う予定なのかもしれない。

最後にAppleの訴訟問題。Appleのプライバシー侵害に対する訴訟和解金の支払いが始まっているようだ。2014年の9月から2024年の12月までの10年にわたる期間、ユーザーが意図しない状態でSiriが会話の内容を聞き、それを広告企業と共有していたということで、プライバシー侵害の訴訟が始まったようだ。2024年12月末に和解が最終合意に達し、2025年7月までの請求期間が認められていたようだ。和解の内容は、原告には1台につき最大20ドルまで、一人につき最大5台までの補償金、総額にして9,500万ドルが支払われることになったと記事は伝えている。一人あたりの最大保証金額が100ドルとなる可能性を示しているが、実際の支払の平均額は1台当たり8ドル程度で、20ドルから40ドル程度のようだと見られている。

9,500万ドルはAppleから見ると大した金額ではないが、ユーザーとの信頼関係を構築するには大切な問題提起だったに違いないと記事は伝えている。新しい技術は便利ではあるが、社会との間でこのような相互反応を起こし、技術も社会もお互いに変化していくものと考えられる。技術が社会全体に受け入れられていくには、メリットやデメリットが正確に認知される必要があると思う。

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