2026年4月20日

そういえば、AWSがAnthropicに250億ドルの追加投資をするようだ。当面50億ドルを投資し、マイルストーンの達成に応じて、さらに最大200億ドルを追加するとのこと。AWSはすでに80億ドルをAnthropicに投資している経緯がある。逆にAnthropicは、AWSに今後10年間で1000億ドルの投資を行うらしい。AWSのTrainiumとGravitonを確保する狙いがあるようだ。今年中に、Trainium2/3で構成する1GWと、将来的に5GWまで確保しているとのこと。現在開発中の、Trainium4が含まれていると思われる。AWSの顧客は、すでにAmazon Bedrock上でAnthropic Claudeを使用できるが、AnthropicはClaudeに対する需要が急増したため、インフラを急いで増強する必要に迫られていると見られる。

AIつながりで次の話題。PositronがOracleと提携したようだ。Positron AIは推論チップを開発しているスタートアップで、2026年後半にAsimov(TSMC N3Pプロセス)というカスタムASICチップをリリースする予定とのこと。現在はAtlasというFPGA+HBMの推論チップを展開しており、Cloudflareなどで実績があるらしい。AsimovはLPDDRメモリを採用しているが、チップ当たり2TBを扱うことが出来るとしている。AsimovがOracle Cloud Infrastructureで実績を積むことが出来れば、空冷で動作するので電力密度の低いCSP向けに展開していくことを考えているようだ。

AI関連でもう一つ。IBMのアーヴィンド・クリシュナCEOが、AIと量子コンピュータの導入についてコメントを出したという記事が出ている。2月のAnthropicショック(COBOL書換えのClaude Codeによる自動化)によってIBMの株価は低下したが、IBM自身がAI推進に力を入れていることを強調しており、同時に量子コンピュータの開発と応用に力を入れていると記事は伝えている。コメントの中では、テクノロジーはこれまで企業活動を支援するものであったが、これからは企業活動そのものを左右する存在へと変わっていることに、まだ多くの企業が対応できていないのではないか、と述べている。

産業革命以来、科学技術(テクノロジー)が産業の発達を促してきたが、テクノロジーそのものが企業活動として成り立ってきたかというと、そうでもない気がする。たしかに鉄鋼や石油・化学などは科学技術そのものだったのだろうと思うが、それらが発達を促したのは、自動車や船舶・航空などの交通機関と、紡績や土木建設などの機械化であった。そのうえに都市整備や流通網、商社などの産業があり、さらにその上に市場や小売りなどのサービスを行う会社がある、という具合ではなかっただろうか。つまり、流通や加工などの産業よりもうえの層は、産業革命以前にもあった構造だが、テクノロジーが機械化を推進し、人間が苦手な移動や建設などで以前ほど苦労をしなくてよくなって、社会が変わったという構図だったのではないかと思う。この、基礎となっているテクノロジーと、一番上にある社会全般の企業とは、少し距離があったと思う。

一方で、家電とともに情報・通信産業が発達し、1960年代から半導体産業が発達し始める。テクノロジーとしては、電子・物性を基盤としていると思う。機械化が進んだ社会の中で、電信電話・コンピュータ・インターネット・通信衛星などが発達した。2000年を越えてスマホが普及すると、半導体が地球上に蔓延して、いろんな産業の基礎に入り込んだと言ってよいのではないかと思う。短絡的かもしれないが、半導体上に形成した電子計算機とソフトウェアで人間の応用力が解放され、情報通信社会が発達した。人間の苦手な計算で苦労しなくてよくなり、都市部の生活が一変してしまったと思う。そして、その情報通信社会の中心企業がIBMだった、ということかと思う。もちろんこれが、現在のAIにつながっている。

半導体テクノロジーの特徴は小型・高速であることとだと思う。半導体を基盤とすることで、科学技術の変化が産業を変え、産業の変化がサービスを行う企業を変えるまでのタイムラグがどんどん短くなっていると思う。テクノロジーへの理解は、もはや「あった方が良い」ではなく「無いと困る」というものなのかもしれない。ここでいうテクノロジーへの理解とは、テクノロジーにどれだけコストを割くかということだ。企業の経営層がテクノロジーにどれだけコストをかけるかで、どれだけ素早く変われるか、ということが問われているのではないだろうか。ダーウィンの進化論は、強者が生き残るのではなく、変化に適応したものが生き残るということを示していたと思う。

IBMのCEOがテクノロジーと企業活動の距離を語るということは、以上のような経緯を踏まえたほうが、真の意味がわかるような気がした。

CEOつながりで次の話題。AppleのCEOが交代するようだ。現在のティム・クックCEOは、9月1に15年の任期を終えて退任し、新しいCEOとしてジョン・ターナス氏が就任するとのこと。ターナス氏は現在、ハードウェア担当上級副社長を務めているとのこと。クックCEOの在任中に世の中に出た主なデバイスは、Apple Watch、Air Pods、Vision Proということになるようだ。しかし、なによりもiPhone事業が拡大の一途をたどっていった、堅実な手腕が評価されるべきかもしれない。次期CEOは、遅れていると言われるAI分野への進出が、クリヤするべき課題になると見られる。

上の話につながるが、次の変化は半導体テクノロジーを基盤としたAI産業の発達ということになるだろう。AIはまだ企業での活用を模索している段階で、個人の嗜好に入り込むのはもう少し先のような気がしている。現在の、エージェンティックAIがビジネスをサポートするような規模の話は産業界の話だと思う。GPUやNPU、CPUが大量に必要だと言っているのはそのレイヤの話で、ただいまデータセンターの準備中である。いま個人でAIを使って文章や絵や動画を生成している人は、プロかハイアマチュアが中心ではないかと思う。プロと言っても昔のような大手のメディアではなく、YouTubeをはじめとしたSNSで稼げる世の中になっているので、誰でもプロになれる世の中になっている。産業界も個人も通して見ると、AIはお金を稼ぐ前提で活用されているような気がしている。(個人で楽しんでいるのは他からはわからないものではあるが)

AIがすべてを加速していくのであれば、社会を変えていくのも早いような気がする。何気ない個人の日常でAIが役に立つ場面は、写真の背景を変える以外にも、もっとあるだろう。AI産業が人間の苦手なものを開放してくれることで、次の社会の変化が訪れるはずだ。計画を立てたり、絵をかいて説明したり、関係者と調整したりすることかもしれない。おそらく、変化の準備は完了していると思われる。AppleやAndroidに搭載されたAIが、AIに支えられた生活の変化を一気に推し進めるときに、その次世代のデバイスが飛躍的に普及するのではないだろうか。スマートフォンに限った話でもないと思し、ひょっとすると最近話題になっているスマートグラスかもしれない。おそらくAppleやAndroidは、タイミングを計っているのではないだろうか。

共通な構造としては、テクノロジーの発達がインフラの変化を推進することで、その上に乗る産業基盤を変質させ、人間が苦手としているものを開放し、サービス企業を変えていく、ということかと思う。推進してきた変化は機械化、情報化、AI化の流れとなっている。テクノロジー・インフラ・変化原理・苦手なもの・サービス、の5つの層(ケーキとは言わないが)で分けてみると、判りやすいのかもしれない。

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