2026年4月8日

どうやら、インテルがイーロン・マスクのテラファブに参画すると発表したようだ。米国企業連合が形成されたという点では、自然な形だと思う。といっても、今回は参画の表明だけで、具体的な資本関係などは決まっていないと見られる。テラファブ構想の中では、これから2nmプロセスのファブを建設することになっていると思うが、インテルがすべてのラインを提供したとしても、年間1TW計算能力の所要は満たせないと思う。したがって、ファブ建設やライン構築のアドバイザー的な立場での参画ではないかと思うが、どうだろうか。テラファブ構想には賛否両論あると思うが、個人的には期待したいと先月下旬に少し書いた通りである。目先の事業として、テスラのAI6チップの製造などはあると思うが、これから具体的な取引に発展するか、推移を見守りたい。

インテルつながりで次の話題。インテルとSambaNovaが分割推論のブループリントを発表したとの記事が出ている。分割推論とは、推論処理をプリフィルとデコードに分けて、それぞれを異なるアーキテクチャで最適化する方式で、今回はプリフィルにはGPU(機種は不明)、デコードにSambaNovaのSN50 RDU(Reconfigurable Dataflow Unit)、エージェントオーケストレーションにXeonを用いるようだ。SN50の製造プロセスは、TSMCの3nmではないかと見られているようだ。AWSが先月の中ごろに発表していた分割推論では、プリフィルにTrainium3、デコードにCerebrasのWSEを使っている。WSEを使う理由はメモリ帯域幅で、デコード部は高速応答が重要と見られる。同様に、NVIDIAのLP30(旧Groq)もSRAMでメモリ帯域を稼ぐ方式となっているが、SRAMは高速ではあるが容量が小さいため、LP30はチップをたくさん並べる方式をとっている。SN50では、SRAMが500MB載っているが、パッケージにさらにHBMを乗せている。

インテルのCPUは、推論を行うAIエージェントのオーケストレーションを担当するとなっている。既存のデータセンターに対してはXeon CPUの方がまだ親和性が高いとしており、x86が優位であるということのようだ。ただし、今回のインテルとSambaNova(とGPU)の組合せで、推論処理のブループリントを決めたと言っても、これは誰が買うのかがよくわからない気もする。AWSやMSやGoogleなどのクラウドサービスプロバイダと、OpenAIやAnthropicやmetaなどのAIサービスプロバイダはすでに独自システムを持っており、NVIDIAとAMDは投資付きAIラックシステムを入れて回っている状況だと思う。もっとAIシステム市場が広がって自前でシステム開発しないレイヤーが増え、商機が訪れることを期待していると思われる。

AIつながりで次の話題。BroadcomとGoogleとAnthropicで戦略的な提携を組んだとの記事が出ている。BroadcomはASICベンダーとしてGoogleのTPUの製造を請け負っている。実際の製造はTSMCだが、Googleが設計したTPUをチップにするためには、マスクイメージにしてファブに渡したり、ファブとの製造調整や製造後の出荷試験や納品などを担当する。今回の提携では、TPUを出荷する先のAIサービスプロバイダーとして、Anthropicも加わったということで、設計・開発・製造と購入先まで含めた枠組みになったと思う。AnthropicはTPUの以前からのユーザーで、今回5GWのデータセンターを構築するとのこと。思えば、NVIDIAやAMDは自前で開発してTSMCで製造したGPUを、投資付きでデータセンターへ入れているので、なんとなく似たような話だと思う。やはり半導体は、開発する段階で誰が使うか(どうやって儲けるか)まで、計画を立てたうえで開発するのが、セオリーとなっているように思われる。

Anthropicの話題でもう一つ。Anthropicから、Project Glasswingと呼ばれる取組みが発表されたようだ。AIサイバーセキュリティに関するプロジェクトで、AWS・Apple・Google・Microsoft・Broadcom・Cisco・Linux Foudation・NVIDIA・Palo Alt Networksなど40社ほどが参画しているらしい。取組みの内容は、Claude Mythos Previewという未公開のAIモデルで、セキュリティ対策のために各社のITツール類の脆弱性を検査している。成果の中には27年間未発見の脆弱性が見つかった例もあるとのこと。さすがにこのAIは一般公開はされておらず、いわゆるホワイトハッカーAIと言ったところだろうか。会社側としては脆弱性は認めたくないかもしれないが、早期発見・早期対策が適切なのではないかと思う。こういう取り組みが重なっていくことで、セキュリティリスクのない社会になると良いと思う。

最後に地政学的な話題。ヘリウム供給の危機について記事が出ていた。韓国はヘリウムの輸入の約65%がカタールからで、今回の湾岸情勢の影響を打受けると見らているが、ドイツとアメリカから米国産ヘリウムの調達契約を結んだとのことで、4ヶ月分ほど確保したようだ。台湾もヘリウムは輸入に頼ってはいるが、リサイクルの回収率が高く、備蓄も2ヶ月ほどがあるらしい。日本でもキオクシアがメモリを生産しているので影響はあるが、日本は60%が米国からの輸入とのことで、カタールへの依存度は減らす方向とみられる。米国はインテルだが、世界中に製造拠点はあるものの、ヘリウムの生産量は米国がトップ(テキサス州・ワイオミング州・カンザス州・オクラホマ州などで産出)なので、相対的に安定と見られている。

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