◆そういえば、TSMCの第1四半期決算が発表されたようだ。発表前は、A14までが具体的な最先端ノード名だったが、今回、A13, A12というノード名が公開された。2nmはN2PからN2Uになるとのこと。
・A14は2028年量産・N2比で10~15%性能増・25~30%電力減・20%密度増
・A13はA14のハーフノード前進・2029年量産開始予定
・A12はA14のフルノード前進・2029年量産開始予定
・A12は背面給電(TSMCはSuper Power Railと呼ぶ)に対応・A16の後継ノードとなる
・N2UはN2P後継プロセス・2028年に量産開始予定
現行プロセスの経営状況としては、3nmの粗利率が今年後半に平均を上回って経営の主力ノードになる見込みらしい。また、HPCカテゴリ(AI関連チップはここに入る)の売上の全体に占める割合が、初めて60%を越えたとのこと。(前回55%) 一方、スマートフォン・カテゴリは26%となり、30%を切ったようだ。(前回32%)
工場建設については、台南に3nm工場を建設中であることに触れ、以下、順次拡張予定とのこと。量産目標の達成後に増設するのは異例の事態で、3nmプロセスに注文が集中している状態を反映していると見られる。
・台南(高雄FAB22)を建設中・2027年前半稼働開始予定
・アリゾナ(FAB21)を建設中・2027年後半稼働開始予定
・熊本(FAB23を建設中・2028年稼働開始予定
・他、5nm/4nmラインの3nm転換もすすめる方針
パッケージングについてもCoWoSを中心に注文が集中しており、CoWoS・InFO・TSMC-SoIC(3D System-on-Chip)などの先進パッケージング事業の売上が10%を超える見込みらしい。アナリストの見解では、旧8インチラインをパッケージング工場に置き換えると見られるている。また、ガラスパネル基板を用いたCoPoSは、嘉義のAP7で2028年末から2029年にかけて量産開始に到達の予定としている。
他に注目を集めた発言としては、インテルとテスラも両方ともTSMCの顧客であることに触れ、ファウンドリ事業に近道はない、有用な技術は難しければ難しいほど良いと述べたようだ。インテルは依然手ごわいライバルであるとともに、インテルとイーロン・マスクのテラファブ構想を念頭に置いていると思われる。過去3年間の設備投資額は1,010憶ドルだったが、今年の設備投資額は560憶ドル。1年で過去3年の半分を越えるペースとなっている。
いくつかの例外はあるが、TSMCがAI関連各社のチップ製造を一手に引き受けている感がある。ほとんどが3nmプロセスとなっていると思う。チップ製造だけでなくパッケージングもネックになりつつある。AI関連のハードウェアの供給元の一番上流はTSMCであることは間違いないと思うので、今後も要注目かと思う。
TSMCつながりで次の話題。Metaが開発しているMTIAについて、最先端のMTIA500を2nmプロセスで製造するようだ。ASICベンダーはこれまでと同じBroadcomで、半導体ベンダーもTSMCと見られる。3月中頃の発表時にはよくわからなかったが、MTIA300は5nmプロセスで製造しているらしい。MTIA400/450は3nmプロセスで、次期MTIA500が2nmで2027年に量産となるようだ。Broadcomのホック・タンCEOはMetaの取締役でもあるそうで、今回取締役を退任し、Metaの相談役になると記事は伝えている。
サーバーCPU関連の話題も少し。AMDの次期EPYCであるVeniceとVeranoのメモリの話題が出ている。2026年に予定されているVeniceまではDDR5 RDIMM/MRDIMMベースのメモリモジュールとするようだ。一方で2027年に予定しているVeranoは、LPDDR5X SOCAMM2対応とするらしい。Veranoは、Instinct GPU向けホストとして設計されており、AIデータセンター向けCPUという位置づけのようだ。SOCAMM2は256GBまでの容量をサポートできるので、同じ主記憶容量であれば、DIMMよりも少ないモジュール数となる。モジュールが少なければDDRコントローラも少なくてよいので、チップ設計にも有利な面があると考えられる。
話は変わってクラウド関連。オラクルとAWSがマルチクラウドで協業するようだ。基本は企業向けに構築されているOCI(Oracle Cloud Infrastructure)のクロスクラウド相互接続技術のようで、パートナーとなっている26社のクラウド間で相互接続できるらしい。これをアマゾンのオープンスタンダードと統合したということのようだ。オラクルと言えばデータベースの会社なので、Oracle AI Database@AWSが、このコラボレーションでさら進むことが期待されているようだ。
最後に量子コンピュータ関連。IBMが量子コンピュータに、B型肝炎ウィルスのゲノムのロードに成功したという記事が出ているようだ。量子チップHeronは、156量子ビットを備えている。どうやら、量子チップでゲノムを符号化し、量子コンピュータで扱えるようになったということらしい。ゲノム解析などのバイオインフォマティクス領域への応用が期待される。