2026年4月1日

ところで、NVIDIAのGPUであるRubin Ulltraのパッケージングが少し難しいとの記事が出ているようだ。Rubin Ultraは、GPUダイが4つとHBMが16個の、巨大パッケージである。パッケージ基板に有機インターポーザ―であるCoWoS-L(Lはラミネートの意味)を使うが、どうも基板サイズが大きすぎて反りが許容範囲を超えてしまうらしい。どんな材質であれ、反りは必ずあるのだが、面積が大きいと反りが許容範囲を超えてしまい、チップの下面にある端子が一部接続不良になる。大面積でも反らない材質は、高価でコストが上がってしまう。代替え案として、ガラス基板のインターポーザ―(パネル)を用いるCoPoSが期待されている。

ただし、ガラスは二酸化ケイ素(SiO2)で熱抵抗が大きい。シリコンインターポーザ―に比べると、熱がチップの下からは抜けて行かないような気がしているがどうなのだろうか。チップ下面の端子と基板のパッドは金属接合しているので、電源(VとG)端子を介して熱が十分に拡散してくれると良いのだが。そうなるためには、ガラス基板内に熱拡散のための金属配線を入れておいて、それをパッケージ基板に金属接合して熱を逃がしていくような設計が必要になるような気がする。電源やグランドの配線がその役割を果たすと思うが、チップ内の電圧分布と発熱分布を両方カバーするように設計するための、高度な設計環境が必要になると思われる。

パッケージングつながりで次の話題。TSMCのシリコンフォトニクス対応パッケージ技術COUPEが2026年内に製造開始の見通しとの記事が出ている。BroadcomのTomahawk 6やNVIDIAのSpectrum 6に用いられている技術で、パッケージ基板から光配線が直接出ている。AIデータセンターでは通信の消費電力を抑制するために、光化は必須とされている。NVIDIAとAMDのラックシステムのイーサネットスイッチには、それぞれSpectrum 6とTomahawk 6が用いられている。インテルファウンドリはカスタムCPO+EMIBで対応する方針とのこと。サムスンは当面PICモジュール開発を進め、2029年からシリコンフォトニクスに対応するらしい。

インテルが出たので次の話題に。インテルが、アイルランドの半導体工場を買い戻したようだ。アイルランドのFAB34は、2024年からアポロ・グローバル・マネジメントとインテルの合弁会社となっている。アポロ側が49%を出資しているが、これを今回インテルが買い戻すことになったらしい。FAB34ではINTEL4およびINTEL3のラインがあるとのことで、INTEL4はMeteor Lake、INTEL3はXeon6を製造していると見られる。買戻し後はIntel 18Aに入れ替えていくのではないかとのこと。Intel 18Aでは、Panther LakeとClearwater Forrestがすでに製造されており、この先もNova LakeやDiamond Rapidsが予定されていると見られる。 

製造関連で次の話題。QualcommとMediaTekが4nmプロセスのモバイルチップを大量にキャンセルしたようだ。具体的な型番は、Qualcomm Snapdragon 8 Gen3以下のチップ、MediaTekはDimensity 9400以下のチップのようだ。数量は1,500万~2,000万チップと記事は伝えている。ウェハとしては2~3万枚とみられている。キャンセルの理由はメモリの高騰にあるらしいが、どうやら中国の低価格帯スマートフォンは値上げが避けられないため需要の低迷が見込まれているらしく、需要が無ければチップを作る理由もないので、キャンセルしたということらしい。韓国ではGalaxyのタブレットなど値上げを実施したとのことで、価格に転嫁しても需要があれば、チップの製造には影響は出ないものと思われる。

最後に日本の話題。富士通から国産NPUを開発するとの記事が出ているようだ。半導体プロセスには、ラピダスの1.4nmプロセスを用いると記事は伝えている。1.4nmプロセスは2029年に立ち上がる見通しとのことで、おそらくそのころにはに日本の次期スーパーコンピュータ富岳NEXTのCPUであるMONAKA-Xが開発を完了しているので、富士通製のCPUとNPUでつながると期待されているようだ。NPUはラピダスの1.4nmプロセスだが、MONAKA-Xは、TSMCの1.4nmプロセスだったと思う。NPUに関する業界動向としては、昨年NVIDIAが買収したGroqが、LP30としてVera/Rubinシステムに加わったほか、MetaやMS・AWS・GoogleなどAIデータセンター各社が独自で開発しており、活発化している。CPU+GPU(学習)+NPU(推論)とすることで、低消費電力で創薬や材料開発が可能になるとしたら、素晴らしい取り組みだと思う。

富士通関連でもうひとつ。富士通が、AIにCOBOLのプログラムを解析させて仕様書を起こすサービスを開発したようだ。先月、AnthropicがCOBOLをAIで書き換えることができるとして、IBMの株価が急落したが、別プログラムへの直接な書換えは、メンテナンスの点でちょっと大変なのではと疑問に思っていた。いったん仕様書になると、ドキュメントに従った点検が可能になるので作業としての信頼感が増すのではないかと思う。富士通はIBMと同様にメインフレームの歴史が長く、仕様書とCOBOLの両方の蓄積があるのではないかと思う。AIが学習するデータがあって、このサービスが可能になったのではないかと思うが、どうなのだろうか。

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