2026年3月8日 安静の日曜日

ところで、インテルのPanther Lakeのダイ写真が出ているようだ。CPUパッケージからチップをはがして、端子面から配線層を剥ぐように除去していったと思われる。除去して何を見たいかは人それぞれだと思うが、公表されている仕様に沿った造りとなっているかとか、公表されていない部分の設計を知るためなど、いろいろあると思う。解体自体はリバースエンジニアリングにあたるので、契約で禁じられている場合が多いと思うが、契約の縛りが無ければ、解体すること自体は違法ではないらしい。チップを端子面から除去していくと、一番下はトランジスタになるが、ナノメートル単位の加工なのでトランジスタを見るには電子顕微鏡が必要になると思う。そこまでこだわらなくても、もう少し上の配線層が見えるレベルで、コアとかメモリとかの機能ブロックはなんとなくわかるはずだ。ただし、従来であれば電源配線が信号配線より幅が広かったりして目印になったと想像するが、今回のPanther Lakeのコンピューティング・タイルはIntel 18AでBSPD(背面電源供給)となっているので、従来ほど機能ブロックの境界がわからない可能性はあると思う。

また、Panther Lakeは、3つのチップレットと1つのベースダイで構成するが、6つのチップレットと3つのベースのダイを製造するようだ。つまり、コンピューティング・タイルが16コアと8コアの2種類(両方ともIntel 18A)、グラフィックス・タイルが12Xeと4Xeの2種類(TSMC N3EとINTEL3)、プラットフォーム・コントロール・タイルがPCIe 20レーンと12レーンの2種類(TEMC N6)がある。これらの組合せで3つの品種があるので、ベース・タイルは3種類になる。3つのチップレットが2種類ずつなので、8種類の組合せが可能になるが、製品としては3つしか作らないようだ。Raptor Lake以前のモノリシックのときも、コア数に応じてダイを作り分けていたので、同じような感じなのだろう。

少し社会的な話題。金曜日に2月の全米雇用統計が発表されて、予想では5.4万人くらいの失業者数の増加としていたところが、発表された数字は9.2万人の労働者の減少で、驚きの結果となっているようだ。原因の一つにカリフォルニアの医療従事者の労働争議の影響などが挙げられている。他にも、AIの導入が影を落としていると見られている。1月から2月にかけて、コンピューターやデータ処理、電子部品などの分野で、前年比で多くの人員削減が起きているようだ。ここのところ何度か、AIをうまく使うことで企業が発展し、より多くの人を雇用することが出来るようになる、というスキームがこれから立ち上がってくるのではないかと書いたが、実際そうなるまでは、まだ時間がかかると思うし、その間のジョブチェンジに伴う失業や雇用の増減はあると思う。

AIが人間に取って代わることが、どれくらい効率的なのか、そうでないのか、少し考えてみたい。現在のAIデータセンターのインストールは、GW単位になっている。人間の脳みその電力量は20Whである。これを比較してみたい。20Whは15年くらい前から言われている数字だが、根拠はおそらく脳みその1日の消費カロリーで、350~450kcalと言われている。頭の良し悪しというよりは、体格によって変わると思われる。1kcalは約1.16Whなので、脳みその1日の消費カロリーを413kcalとすると、一日の電力量に換算すると480Whとなる。24時間で割ると20Whとなる。

ただし、これでは平均20Whなので、寝ているときと起きているとき、起きているときでも働いているときで、それぞれに電力量に差があるに違いない。仮に寝ているときを、8時間10Whとする、起きているときは16時間25Whとなる。起きているときの普通に過ごしている8時間を20Whとすると、働いている8時間は30Whとなる。30Whは、30Wで1時間動かしたときの電力量なので、人間の脳は30Wで8時間が限界、というモデルとなる。これで電子機器と比較できるようになる。

人間が30Wということは、AIワークロードが消費する1kWは、約33人分のエネルギー消費になる。作業量が33人分ではないので要注意。エネルギー量の比較である。また、人間の30Wは8時間が限界なので、AIワークロードが1kWで24時間動くと、100人分のエネルギーとなる。AIが1kWで24時間動いて100人分の作業量をこなすだろうか。そうあってほしいが、少し微妙な気がする。

そこで、作業量と電力を測ることが出来ないか考えてみたい。先月の中ぐらいに、OpenAIのCodexを、CerebrasのWSE-3に乗せて1000TOPSを実現したのが、人間で言うとペアプログラミングをするくらいの応答速度らしい、と書いた。WSE-3は18kWくらい(システムCS3で23kW)らしい。8時間動かすと600人、24時間で3倍の1800人分のエネルギー消費となる。作業量として600人とか1800人のペアプログラミング作業が可能だろうか。同時接続アカウントで言うと、これくらいのアカウント数はなんとかなるのかもしれない。

以上から、現状のエネルギー消費と作業量の解釈としては、AIワークロードは人間よりも巨大なエネルギーを消費しており、多くの人数分の作業量をこなさないと元が取れない状況だと思う。この先、世代が進むとこのギャップが小さくなり、実用的な感覚が得られるかどうかだと思う。例えば、AIワークロードが10W単位で測られるようになり、作業量として数人分をこなしていると考えると、ちょうど人間と同じくらいと判断できるのではないだろうか。

現在はGPUのトークンのコストが指標となっているが、AIワークロード電力と作業量で人間との比較ができるようになると、IRDSで定義される3Dスケーリングの進歩とともに、新しいムーア則のようなものが生まれてくるかもしれない。ちょっと期待しすぎかもしれないが。

最後に別角度からの話題。TSMCの映画が、日本国内で上映されるようだ。昨年、台湾で上映されていたらしい。原題は「造山者 世紀的賭注(ぞうざんしゃ・せいきのかけ)」だが、「チップ・オデッセイ 台湾の賭け」という邦題が付いているようだ。3月に東京で、4月に熊本で上映会があるとのこと。

 

昼前に起きたらよく晴れていた。昨日はワクチンを打ったので、夜は免疫反応でぐったりしていたが、起きると少し抜けた気がした。

 

今日は奥さんのほうが免疫反応でぐったりしている。同じ日に打ったのに時間差がある。家の中で静かにすごす。必要なことだけゆっくりこなす一日になった。

 

夜には体調もほぼ戻ってきたので、晩ごはんに豚肉とピーマンの炒め物をさっと作って食べた。ゆっくり休めたのは本当に良かったと思う。

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