2026年4月28日

  • そういえば、インテルがウェハ上で残り物(廃棄予定)となったチップまで売っているという記事が出ているようだ。

シリコンウェハ上に形成するチップは、半導体工程内の偶発的な欠陥などによって、いくつかが不良品となる。不良率の裏返しが良品取得率で、いわゆる歩留まりと呼ばれている。この良品の取得というのには、何段階かあると思う。とくにCPUの場合はコア単位で内部の機能が分かれているので、いくつかのコアが不良になっても困らないように、コアの個数を何段階かに分けて商品化している。コアの個数以外にも、キャッシュメモリの容量や、動作周波数(クロック)がどこまで動くか、などで商品構成を何段階か用意しておく。つまり、コア数、メモリ容量、動作周波数でそれぞれが何段階かあるので、半導体としては同じCPUチップでも、たくさんの型番が発生するようになる。

今回のインテルの廃棄予定だったチップというのが具体的な仕様はわからないので、以下は想像にすぎないが、通常であれば採算が合わないとして廃棄する予定のウェハやチップを、製品として出荷したと思われる。半導体工程の中では次のステップに進めるかどうか判定するために、何回か試験がある。試験の結果、ウェハ全体で良品となるチップが少なければ、パッケージングの工程には流さずにウェハごと廃棄すると思う。良品数が少ないウェハを搬送したり待機させたり、端子を付けたりチップに切りはなして管理するのは無駄が多いので、良品率の高いウェハを優先するからだ。また、チップとしてもコア数が少なくて商品にならなければ、ウェハを切った後、そのチップは置き去りにされて廃棄されていたと思われる。

最近はチップレットになったので、ひとつのチップレットにいくつ良品が載っているかで廃棄するか、という判断になると思う。下位品種では1つのチップレットで構成することにあると思うが、コア数が少ない2つのチップレットで構成することが可能になるなど、従来であれば不良品としていたチップレットを転用することも可能になると思う。そういうことがあったのではないかと想像するが、どうなのだろうか。

また、半導体プロセスの信頼性はトランジスタのレベルで保証しているので、ウェハからとれるチップの信頼性上の品質は、コアの数によらず均一なものになる。ウェハの端は品質が低いと伝えている記事があるが、低いのはコア数・メモリ容量・動作周波数による機能面の品質であって、壊れやすいなどのいわゆる信頼性の品質が低いわけではない。大きなチップの方がトランジスタ数が多いので故障率(FIT数)は大きくなるが、面積を考慮して故障率が3年などの動作保証期間を満たすことを確認したうえで、半導体プロセスは量産化に移行している。したがって、廃棄と判定されたチップだからといって、信頼性上の品質が低かったということにはならない。

つまり、出荷されたチップは安心して使ってよい。これまでは採算が合わないから廃棄していたのであって、需要があって採算が取れる価格を設定できるなら、出荷してもよいと思う。 

  • 半導体プとセスつながりで次の話題。

TSMCの3nmプロセスが好調との記事が出ている。AI向け半導体の需要拡大を背景に、2026年の月産能力は18万枚規模となり、前年から4割以上増加する見通しとのこと。需要の中心はAI向けGPUやカスタムASICと見られているようだ。また、TSMCはTechnology Symposium 2026で、2nm世代やその先のA14プロセスについて説明したらしい。性能向上と消費電力削減を継続しながら、AI向けの先端パッケージ技術も強化していく方針とのこと。CoWoSなどの先端実装技術についても需要が高い状態が続いていると記事は伝えている。AIブームによってGPUや推論チップの競争が注目されているが、その土台となる半導体製造能力の重要性も増しているようだ。最先端プロセスと先端パッケージを両立できる企業は限られており、TSMCの存在感は今後さらに大きくなりそうだ。

  •  TSMCつながりでもうひとつ。

台湾肥料がTSMCと協力し、先端半導体製造工程から発生する廃硫酸の再生・リサイクル事業を本格化するようだ。両社は半導体製造で使用された高純度硫酸を、再利用可能な化学原料へ転換する循環型経済モデルを推進するとのこと。台湾肥料はその名の通り肥料メーカーだが、近年は半導体産業向けのグリーンケミカルリサイクル事業を新たな収益源として育成しているようだ。半導体工場では大量の高純度薬液が使用されるため、生産能力の拡大に伴って廃酸処理も重要な課題になっている。

台湾肥料は中央台湾科学園区内にリサイクル設備を設置し、「工場内工場」方式で資源循環を実現しているとのこと。新たな化学原料の使用量削減や廃棄物削減にもつながり、ESGやネットゼロ戦略の一環としても注目されているようだ。AIや先端半導体への注目が集まる一方で、その周辺では薬液、ガス、電力、水処理、リサイクルといった産業の重要性も高まっている。台湾肥料の事例は、従来産業が半導体サプライチェーンへ深く組み込まれ、新たな付加価値を生み出している例といえそうだと記事は伝えている。

  • 少し変わってAIエージェントの話題。

IBMが企業向けAI開発支援ツール「Bob」を正式リリースしたようだ。Bobは単なるコード生成ツールではなく、要件定義、設計、コーディング、テスト、デプロイ、運用、モダナイゼーションまでの、いわゆるソフトウェア開発ライフサイクル全体の支援を目指しているとのこと。Anthropic Claude、Mistral、IBM Graniteなど複数のAIモデルを組み合わせ、精度やコストに応じて最適なモデルへ処理を振り分けているらしい。記事によると、1年前の2025年6月から、IBM社内の100人の開発者が利用を開始し、現在は8万人以上のIBM従業員が利用しているようだ。社内の評価では、平均45%の生産性向上が報告されている。

さらにBlue Pearlでは通常30日程度を要するJavaアップグレード作業を3日で完了し、160時間以上のエンジニアリング工数を削減するなど、レガシーシステムのモダナイゼーションに効果を発揮しているようだ。生成AIによるコーディング支援はすでに一般化しつつあるが、IBMはコード生成そのものよりも、複雑な企業システム全体の変更管理やガバナンス、自動化された開発プロセスに重点を置いているとみられる。AIアシスタントからAIエージェントへ、さらにAIによる開発工程全体のオーケストレーションへと競争の軸が移り始めていると記事は伝えている。

  • AIつながりで次の話題。
OpenAIがマイクロソフトとの契約を変更したようだ。2月の終わりにAWSと契約した後、マイクロソフト(以下MS)がOpenAIに対する訴訟を検討していたと思うが、いちおうの決着がついたと見られる。決着の方向性としては、これまでMSが独占的立場だったものが非独占的となり、OpenAIがMSも含む他のCSPにアクセスできるようになった、ということのようだ。ただし、MSは2032年までOpenAIのモデルや製品に関する非独占的ライセンスを得ており、MSがサポートしないことを選択しなければ、OpenAIの最初の出荷はAzureを経由することになっているらしい。一方、MSはOpenAIの独占権を手放した代わりに、Azure上にOpenAI向けサーバーを準備しなくてもよくなったり、OpenAI製品からの収益分配金を渡す義務がなくなるなどのメリットもあるようだ。

MSが法的措置を検討していた経緯としては、AWSが提供するエージェント作成ツール(Frontier)を経由して、MSが独占しているOpenAI製品にアクセスすることが契約違反ということだったと思われる。2月にOpenAIがAWSと提携したときに、ステートフルAPIがAWSで、ステートレスAPIはAzure、と守備範囲が決まっていたと思うが、AWSを使ってエージェントを作成するのはいいが、そのエージェントがOpenAI製品を呼び出すことはできない契約だったようだ。OpenAIとAWSで、MSの独占を回避したかったのだろうが、ちょっと無理があったということかもしれない。

しかし、いったんAWS経由でOpenAIが使えると、ユーザーが期待した後の圧力は大きかったようで、MS以外のCSPからもOpenAIにアクセスが可能になったということは、ユーザー視点からは良いことかもしれない。今回の契約内容の変更は、MSが譲った部分の方が大きいのではないかと記事は伝えている。

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