そういえば、NVIDIAのFeynmanがGTCで発表されたばかりだが、TSMCの生産キャパシティの観点から、もう今の段階で製造が困難ではないかと言われているようだ。FeynmanはTSMC A16で製造する予定だが、A16はプロセスノードとしては2nmの改良版(スーパーパワーレールと呼ぶBSPDを導入するなど)の位置づけとなる。2nmは2025年の年末から量産を開始しているが、すでに需要がひっ迫しており、2027年まで製造予約が埋まっているらしい。TSMCは2nmの工場を建設する予定だが、それでも2028年以降の需要はすぐに埋まると思われる。そのような中で、A16のキャパが十分確保できるのか、早くも疑問が出ているということのようだ。チップレット構成になると思われるが、A16以外の部分にはN3Pを用いるのではないかとみられている。
また、CoWoSもネックになると見られており、FeynmanではTSMCだけでなくIntel Foundryも使うのではないかと見られているようだ。GTCでは3DスタッキングやカスタムHBMを使用するとしていたが、調達と供給を調整しておく必要があると思う。一般論だが、異なる半導体プロセスや会社をまたいだチップレット構成になると、どれかの供給や組立が滞ると最終的な製品にならない。半導体の微細化が進んでいたころは、ひとつのチップがどんどん多機能になっていく流れであったが、微細化が緩やかになった現在では、高性能なXPUを作るにはチップレットの数が増える複雑な構造にならざるを得ない。半導体の供給不足やファブやOSAT(組立と試験の外部委託)のキャパ不足が予見されるときは、部品の点数や組立の手間を減らしたシンプルな構造の方が望ましいと思う。この問題はしばらく続くと思われる。
GTCでの発表をもう一つ。NVIDIAとEmerald AI社が提携し、電源供給網をコントロールするAIファクトリーを構築するようだ。NVIDIAが提供するVera Rubin DSX AIファクトリーリファレンスデザインを活用し、Emerald AI社のConductorプラットフォームで、電力各社の電源供給網を管理する取組みを行うらしい。この取り組みに加わる電力各社は、AES(バージニア州)、Invenergy(イリノイ州)、NextEra Energy(フロリダ州)、Vistra(テキサス州)と、原子力関連のConstellation社、欧州のハイパースケーラーNscale社のデータセンター電力インフラ部門であるNscale Energy & Powerとなっている。Nscale社はNVIDIAから出資を受けていたと思う。電力供給は、発電量と消費量のバランスを、一日を通して保ち続けることが基本となるが、近年は再生可能エネルギーが入ってきたり、蓄電池が普及したりと電源が多様化している。AIデータセンター自身の消費電力も問題となりつつある中で、逆にAIデータセンターを電力供給網に取り込んでしまうという取り組みのようだ。