◆そういえば、Broadcomが、半導体はTSMCの供給能力がボトルネックになっていると指摘したようだ。TSMCの2nm以下のファブは2026年第3四半期にFAB20p3(新竹)とFAB22p3(高雄)に装置の設置が始まるので、2027年にはある程度増強されるが、2026年はサプライチェーンに影響するのではないかとのこと。とくに2nmの初期プロセスは、Appleが製造能力の50%を占めているとの観測もあるようだ。他にも、Broadcomによるとレーザー分野はとくに供給が滞っており、台湾と中国本土のPCB納期が延びているらしい。確証はないが、シリコンフォトニクス関連の生産が追い付いていないことを示唆しているのかもしれない。一方でサプライヤー側は、顧客と長期契約を結ぶ傾向にあり、サムスンが主要顧客との提携関係が3~5年の長期契約になっていると、記事は伝えている。
TSMC関連でもう一つ。TSMCの2nmは4年連続で値上げの見通しが出ている。28年まで予約で埋まっているとのこと。アリゾナのFAB21も、まだ出来ていない3nm/2nm工場の生産予定まで全部埋まっているようだ。FAB21の3nmラインは、2028年完成の予定だったが、2027年後半に工程を前進しているとのこと。海外のTSMC工場の建設期間は、約6四半期(1.5年)とされているようだが、現在は合理化が進んで約4~5四半期となっているらしい。すでにApple, NVIDIA, AMD, Qualcommが米国内での製造を望んでいる状況とみられている。
中東情勢が半導体に影響を与えているというのは、ここのところ報道されるようになっていると思う。ヘリウムの供給は世界全体の約30%がカタールから輸出されており、半導体プロセスの中では冷却などの材料として不可欠である。TSMCだけでなくサムスンにも影響が及ぶ。サムスンにしてみると、調達しているヘリウムの68%がカタール産とのことで、供給の停止は死活問題かもしれない。インテルが使うヘリウムは、おそらく米国産と思われる。(米国は世界最大のヘリウム産出国)
もう一つの脅威は台湾の天然ガスで、台湾には天然ガスの備蓄が11日間程度しかないのではないかとの記事がている。(日本や韓国には90日分の備蓄がある) ホルムズ海峡が閉鎖されたのは3月12日ごろかと思うが、TSMCのファブへの電力供給に影響が出ると、作りかけのウェハが大量廃棄になるリスクがあると記事は伝えている。先端テクノロジーはTSMC以外の選択肢はなく、マルチソース化もできない。台湾に限らないが、いまは在庫をあまり持たないジャストインタイム(JIT)方式で製造を行うため、いったんチップ製造が滞ると下流の行程にかけて生産がマヒする可能性がある。部品表に載っている部品がそろわなければ、製品は完成しないし、モジュールが完成しなければ次の工程に進むことはできない。半導体製造と半導体を用いた製品は、国際協調の中で作られている。